近年はBtoB向けのリード獲得手法としてウェビナーを取り入れる企業が増えています。
本記事では、BtoB向けのリード獲得におけるウェビナーの役割やメリットについて詳しくご紹介します。ウェビナーの導入を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。
ウェビナーはウェブ(Web)とセミナー(Seminar)をかけ合わせた造語で、オンライン上で実施されるセミナーを指します。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、企業活動にも三密の回避が求められるようになり、従来の展示会やセミナーのようなオフライン型イベントの開催が困難になりました。そこで注目を集めたのが、リモート環境で実施できるウェビナーです。
ウェビナーはZOOMなどのビデオチャットツールを使って実施するため、オフライン型セミナーに比べて時間の融通が利きやすいほか、会場を押さえる必要がない点が特徴的です。
ウェビナーは新規顧客の獲得から既存顧客のフォローまで、ニーズに応じて多くの企業に導入されています。
なお、ウェビナーと混同されやすいビジネス用語にWeb会議がありますが、Web会議とウェビナーでは実施の目的が異なります。一般的にWeb会議は、ビデオチャットツールを用いた社内および社外担当者とのミーティングを意味します。
一方、ウェビナーの目的は次のとおり多岐にわたります。
ウェビナーはリード獲得をはじめ、さまざまな目的で実施されます。自社サービスの認知拡大からクロージングまで、マーケティングやセールスプロセスに応じて低コストで実施できるのがウェビナーの強みです。
リード獲得プロセスにおいてウェビナーが果たす役割は、大きく次の3つに分けられます。
ここではそれぞれの枠割について、KPI(目標の達成度を評価するための定量的な指標)となる指標、ウェビナーを導入するメリット、効果的にウェビナーを実施するポイントなどを解説します。
従来、新しい商品やサービスの認知拡大にはプレスリリースやDM、テレマーケティングなどの手法が一般的でした。ウェビナーはこのような認知拡大フェーズで効果をもたらします。
認知拡大施策としてウェビナーを導入する場合、次のようなKPIを設定します。
ウェビナーはあらかじめテーマを決めて実施するため、そのテーマに興味や関心のある良質なリードを効率的に集客することが可能です。
さらに、従来のプレスリリースやDMのようにテキストを主体とした一方的なコンテンツに比べて、ウェビナーは主催者と参加者が双方向にコミュニケーションを取れるため、ウェビナー後の商談化率や成約率の向上も期待できます。
参加者の数を最大化するためには、他社とウェビナーを共催するのが効果的です。業界大手の企業と共同でウェビナーを実施する、認知度の高い著名人にゲストとして登壇してもらう、など工夫することで参加者数の増加が期待できます。
また、よりターゲットに合ったリードを効率的に集客するためにも、ウェビナー実施前にターゲットのペルソナを明確化しておきましょう。例えば、以下のような例が考えられます。
具体的なペルソナが決まれば、ウェビナーのテーマや実施内容もペルソナに合わせて決めやすくなります。
一度接触したリードに対して自社商材に関する情報を提供し、購買意欲を高めるプロセスはリードナーチャリングと呼ばれ、近年、リードナーチャリングの手法としてウェビナーを導入する企業が増えています。
リードナーチャリング施策としてウェビナーを実施する場合、重要なKPIは次のとおりです。
これまで、リードナーチャリングにはメルマガやブログなどの文章コンテンツが活用されてきました。
ウェビナーはこれらの文章コンテンツと異なり、主催者が参加者に直接語りかけられるため、自社商材の特徴や競合他社との差別化ポイントについてより詳しく訴求できます。
さらに、ウェビナーで役に立つのがアンケート機能や挙手機能です。これらの機能を活用すれば、参加者がどこでつまづいているのか、どのようなポイントをより深く知りたいと思っているのかを確認できます。
ウェビナー中に解消できる質問は質疑応答コーナーで対応し、その他の質問は次回以降のウェビナーでフォローすることで、コンテンツを強化できるのがウェビナーの強みです。
リードナーチャリングした見込み顧客に購入や成約を促すクロージングにおいても、ウェビナーは活用できます。実際のクロージングウェビナーで求められるKPIは次のとおりです。
BtoB向け商材はBtoC向け商材に比べて専門性が高いうえ、購入や導入にかかる費用も高額になるケースが多くなります。
BtoB向け商材のリード顧客は複数の競合サービスを比較し、自社にとって費用対効果が最も高い商品やサービスを慎重に検討するため、受注を獲得するにはきめ細やかな情報提供が必要不可欠です。
こういった課題に対してウェビナーは、映像と音声でリードに訴求できる点が非常に有用であると言えます。
リードが自社のサービスに対して抱いている懸念をひとつずつ解消し、サービス導入後のメリットや運用イメージを具体的に伝えることで、リードの意思決定を後押しできるのがウェビナーの強みだからです。
また、クロージングウェビナーの受注率を向上させるためには、リードナーチャリングの時点でより購買意欲の高いリードを選別することが重要です。
定期ウェビナーの参加数が多いリードや、ウェビナー中の質問数が多いリードはサービスの導入を前向きに検討している可能性が高いため、優先的にクロージングすることで受注へとつなげられます。
ウェビナーは多くの理由からリード獲得に活用されています。ここではリード獲得にウェビナーが効果的な理由を3つ紹介します。
ウェビナー開催のメリットは、低コストでリードを獲得できることです。展示会やセミナーといった従来のオフライン型イベントの場合、会場の予約、設営、受付など様々な工数が発生します。
会場の費用や設営費用などに加え、工数が多いほど人件費もかさんでしまうため、予算の確保が困難になるケースも珍しくありません。
一方、ウェビナーの場合はPC、カメラ、マイクの3つさえ用意すれば誰でも簡単に実施可能です。会場を予約する必要がないため、実施日程は自社の都合に合わせて調整できます。
さらに、ビデオチャットツールの録画機能を活用すれば、リアルタイムでウェビナーに参加できなかったリードにもウェビナー風景を視聴してもらえます。少ないコストで多くのリード獲得につながるため、時間や予算の確保が難しい企業でも気軽に実践できます。
ウェビナーは従来のオフライン型イベントと異なり、開催場所の制限を受けません。そのため、日本のどこから発信しても全国のリードに幅広くリーチできるのがウェビナーの強みです。
これまでの営業手法ではリーチできなかった遠方のリードにもアプローチできるため、リードの母体数増加が期待できます。
また、従来のオフライン型イベントでは収容人数や実施時間にも限りがありました。ウェビナーでは同時接続数の制限がないほか、録画機能を活用すれば時間にも制限されずにリードにリーチできる点も強みです。
ウェビナーでは、アンケートを取得することでリードの細かいニーズを把握できる点も大きなメリットの一つです。
講師が参加者に向けて一方的に話す時間が長くなってしまうケースの多い講演では、参加者の感想や意見を汲み取るためにアンケートを配信して取得できる点は非常に有効であると言えます。
ウェビナー後にアンケートを取得することで、リードの細かいニーズの把握に役立つことはもちろん、ウェビナー自体への意見から改善を図ることが出来ます。
また、ウェビナー前にアンケートを取得することで講演内容に参加者のニーズを反映して配信することも可能です。
ウェビナーの配信方法は、次の3種類に大別できます。
ここではそれぞれの配信方法のメリットや、配信時の注意点について解説します。
あらかじめ配信日時を決めておいて、リアルタイムでウェビナーを配信する手法です。ライブ配信ではその場で参加者とコミュニケーションが取れるため、アンケート機能や挙手機能を活用できるのがメリットです。
ただし、通信環境によってはインターネット回線が混み合い、参加者がウェビナーを視聴できなくなる可能性もあります。
ライブ配信を実施する場合は、利用するビデオチャットツールの推奨環境や目安の同時接続可能数を事前に確認しておきましょう。
あらかじめウェビナー風景を撮影しておいて、後日その動画をリードに配信する手法です。リードが好きなタイミングで視聴できることや、通信トラブルの心配がないことがメリットです。
ただし、リアルタイムの配信ではないため、質問や回答など双方向のコミュニケーションができないのがデメリットです。
実際にウェビナーを導入する場合は、ライブ配信とオンデマンド配信を兼用することでリード獲得を強化できます。
ライブ配信とオンデマンド配信を兼ね合わせたハイブリッド型の配信手法です。
あらかじめ撮影しておいたウェビナー動画を所定の日程で配信しつつ、チャットやアンケートを用いてスタッフと参加者がリアルタイムでコミュニケーションを取ります。
動画素材をあらかじめ用意しておくことで、ライブ配信よりも少ない人員でウェビナーを運用できるのが特徴です。
また、参加者からの質問にリアルタイムで対応できるため、オンデマンド配信よりも密なコミュニケーションを実現できることもメリットです。
最後に、ウェビナーでBtoB向けのリード獲得を成功させるためのポイントを4つ紹介します。今後ウェビナーの活用を検討している企業担当者は、これらのポイントを踏まえて効率的にウェビナーを運用してください。
ウェビナーを企画する際に、ウェビナーを実施する目的やターゲットを明確化しておくことが重要です。例えば、認知拡大のためのウェビナーと受注獲得のためのウェビナーでは、求められるコンテンツやアフターフォローは大きく異なります。
ウェビナーの目的に沿ったコンテンツを用意し、適切なKPIを設定することで、より効果的にウェビナーを実施できます。
ウェビナーの目的は、認知拡大、リードナーチャリング、クロージングの3つに分けられます。それぞれの目的に応じてターゲットを明確にし、リードが求めるコンテンツを企画することがウェビナー成功の第一歩です。
ウェビナーは従来のオフライン型イベントよりも気軽に参加できる一方で、参加者が簡単にキャンセルできてしまうことがデメリットです。
参加者のキャンセルや欠席を防ぐために、ウェビナー開催前に参加者のモチベーションを高める工夫が求められます。
実際にウェビナーを運用している企業が取り入れている施策には、次のような事例が挙げられます。
事前に参加者のモチベーションを高めておくことで、ウェビナー当日の参加数を最大化できます。
参加者の事前キャンセルを防止できたとしても、ウェビナーの途中に退席されてしまっては意味がありません。ウェビナーの内容を考える際は、参加者が退屈しないようなコンテンツを企画することが重要です。
具体的には、次のような工夫が挙げられます。
ウェビナーのコンテンツを練る際は、参加者の途中離脱を防ぐ構成を心がけましょう。
ウェビナーは実施後のフォローアップを徹底することで、受注確度を高められます。とくにBtoB向けウェビナーの場合、一度のウェビナー開催で受注に結びつくケースはあまりありません。
BtoB向け商材の受注を獲得するには、ウェビナー後のフォローアップを通じてリードと継続的に関係を構築する必要があります。
代表的なフォローアップ施策には、次のような事例が挙げられます。
なお、ビデオチャットツールによってはフォローメールを自動で送信する機能が備わっているものもあります。送信の手間を減らすためには、自動送信機能付きのツールがおすすめです。
本記事では、BtoBのリード獲得におけるウェビナーの役割やメリットについて解説しました。
ウェビナーは費用対効果の高いリード獲得手法として、多くのBtoB向けビジネスで役立てられています。
BtoB向けのリードを効率的に獲得したい企業は、本記事の内容を参考にしながらウェビナーの導入を検討してはいかがでしょうか。