リード獲得単価(CPL)とは?相場と費用を抑えるコツ

ビジネスにおいて、売上や契約数などの目標が達成されれば、マーケティングは成功したと言えるのでしょうか?

答えはノー。マーケティング活動においては、大きな目標に対する成果の検証に加え、なぜ最終目標達成につながったかを学習するために、個々の施策に対する効果測定が非常に重要です。

一時的に売上や契約数が目標を達成しているからといって、それを改めて再現できなければ、マーケティングが必ずしも成功しているとは言えないのです。

そして、リード獲得単価(CPL)は、費用の面から効果測定を実施する際の重要な指標となります。

適切なリード獲得単価を設定した上で効果測定を実施し、その結果を今後のマーケティング方針や戦略にフィードバックすることが、ビジネスの継続的な拡大に繋がるからです。

リード獲得単価(CPL)とは

リード獲得単価(CPL = Cost Per Lead)とは、リード(見込み客)の獲得1件あたりにかかる費用のことです。

マーケティングにおける効果測定を行う際の重要な指標となるのは前述した通りですが、顧客やマーケティング施策は様々であるため、それぞれによってリード獲得単価の相場は異なります。

似たような指標に、コンバージョン(成果)の獲得1件あたりにかかる費用を表す顧客獲得単価(CPA)がありますが、その違いは以下で説明します。

リード獲得とは

リードとは、近い将来自社の製品やサービスを購入もしくは契約して顧客になってくれる可能性の高い、言わば見込み客を指します。

そしてリード獲得とは、ターゲットの興味喚起を促し、Webサイトへの問い合わせや資料のダウンロード、イベントやセミナー参加のための連絡先登録など、様々なアクションを発生させて見込み客の情報を集めることです。リードジェネレーションとも呼ばれます。

リード獲得は、マーケティング活動の入り口であり、売上や利益に繋がる一連の施策における第一歩でもあるため、ビジネスを成長させるための非常に重要な要素なのです。

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顧客獲得単価(CPA)との違い

リード獲得単価(CPL)と似た指標に、顧客獲得単価(CPA = Cost Per Acquisition あるいは Cost Per Action)があります。

顧客獲得とはいうものの、多くの場合、コンバージョン(成果)の獲得1件あたりにかかる費用を指す場合に用いられます。

コンバージョンとは、問い合わせや申し込み、資料請求、新規契約など、マーケティング施策の目的となる特定のアクションを指しますが、企業や担当者によって何をコンバージョンとみなすかが変わってきます。

そのため、コンバージョン=リード獲得とするケースも多く、その際はリード獲得単価と同義(CPL = CPA)となります。

リード獲得単価(CPL)の算出方法

リード獲得単価を算出するには、まず何をもってリード獲得とするのか、すなわちリード獲得の定義を明確にしなくてはなりません。

定義する内容によって、リード獲得単価が大きく変化するからです。少なくとも一つのマーケティング施策内では、リード獲得の定義が統一されている必要があります。

リード獲得単価(CPL)算出にあたって必要な定義

資料請求フォームの公開、配信メールからの問い合わせ受付、イベントやセミナーでの名刺交換など、リード獲得に向けた施策においては、氏名・会社名・部署名・役職・メールアドレスといった様々な情報が取得できます。

ただ、どのような情報の取得をもってリード獲得と判断するかは、施策の内容はもちろん、自社の製品やサービスによっても定義が異なってきます。

企業によっては、何かしらこちらから連絡する手段(例えば名前とメールアドレスのみ)さえ取得できれば、リード獲得とみなす企業もあります。

いずれにせよ、その後に続くマーケティング活動や営業活動も含めて総合的に判断し、購入や契約に繋げるために有益な情報が取得できていることが重要です。

リード獲得単価(CPL)の計算式

リード獲得単価は、リードの獲得1件あたりにかかる費用のことですから、

「リード獲得のためにかけた総費用 ÷ 獲得したリード数」

で求められます。例えば、100万円の費用でセミナーを開催して50件のリードを獲得した場合、リード獲得単価は

100万円 ÷ 50件 = 2万円

となります。

ここで注意したいのは、100万円という費用には、会場費や備品費、人件費などかかったすべての費用が含まれるということです。

PRのための広告宣伝費や、機器・機材の運搬・搬入費、外部の人に登壇をお願いした場合はその謝礼費などもかかるでしょう。それらを含めた総費用を、獲得したリード数で割ることで、正しいリード獲得単価が算出できるのです。

リード獲得単価(CPL)の施策別の相場

リード獲得単価は、施策によって大きく金額が変わってきます。リード獲得単価における主な施策別の相場例は以下の通りです。

施策CPL相場
ダイレクトメール5,000~20,000円
SEO・自社メディア運用4,000~20,000円
Web・SNS広告3,000~30,000円
他社メディア広告5,000~15,000円
セミナー開催5,000~10,000円
展示会5,000~15,000円

これらはあくまでリード獲得1件あたりの金額ですから、多くのリードを獲得するには、かなりの費用がかかることがお分かりいただけるかと思います。

ただ、それならばリード獲得単価の低い施策のみを実施すればいい、と考えるのはいささか早計です。適切な施策は製品やサービスによっても違いますし、購入意欲によっても変わってきます。

施策によって、リードの質や属性も異なります。それらを総合的に考慮して施策を駆使するのが、マーケティングの面白いところでもあるのです。

また、リード獲得単価は、前述の通りリード獲得の定義によっても大きく変化します。

一貫したマーケティング方針のもと、リード獲得の定義と最終的なゴールの設定を明確にした上で、相場とも照らし合わせながら予算を検討し、効率的なリード獲得を実現しましょう。

リード獲得単価(CPL)を抑えるコツ

では、これらの相場を把握した上で、リード獲得単価を抑えるにはどうしたら良いのでしょうか。

リード獲得のコストパフォーマンスを上げて、リード獲得単価を抑えることは、利益率の向上に寄与します。

そのためにまずは、マーケティング活動の基本を押さえなければなりません。

ぜひ以下で紹介するコツをつかんで、リード獲得単価を抑えるとともに、マーケティング活動全体で大きな成果を上げてください。

マーケティングファネルを明確にする

マーケティングファネルとは、顧客が自社の製品やサービスを購入もしくは契約するまでのプロセス(認知 → 興味・関心 → 比較・検討 → 購入・契約)を、ファネル(=漏斗)のような図式で定義したものです。

ターゲットがマーケティングファネルのどのプロセスにいるのかを明確にし、それに合わせた最適な施策を行うことで、リード獲得のコストパフォーマンスが向上し、単価を抑えることができます。

自社サイト・メディアを強化する(SEO対策)

自社サイト・メディアにおいてしっかりとSEO対策を施すことも、リード獲得単価を抑えるコツの一つです。検索により上位表示されることで、費用をかけずに多くのアクセスが見込めるようになります。

ただ、アクセスからリード獲得に至るためには、コンテンツの内容が有益で、問い合わせや資料請求をしたくなるよう訴求するものでなくてはなりません。そこまでの導線も意識すべきです。

要するに、SEOを考慮するだけではなく、コンテンツとしての質を追求し、全体を強化しなくてはならないのです。

SNSを活用する

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)も、製品やサービスのPRのほか、問い合わせや資料請求のコンテンツに誘導するなど、上手に活用すれば費用をかけずリード獲得に繋げることができます。

また、インタラクティブなコミュニケーションにより自社のファンになってもらうことも可能であり、導入のハードルが低い割に利用価値は高いと言えます。

オンラインセミナー(ウェビナー)を実施する

一般的にセミナーは、テーマに関して一定の興味や関心のある人が参加することが多いため、質の高いリードが獲得できると言われています。

オンラインセミナー(ウェビナー)であれば、会場費や機材の運搬費などを気にする必要もありませんし、人件費も抑えられます。

他社主催のものに共催者やスポンサーとして参加する方法もありますが、自社で開催することで、さらに費用を抑えながら多くのリードを獲得することも可能です。

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オンライン広告を活用する

オンライン広告は、ターゲティングやパーソナライズの仕組みにより、一人一人のユーザーに最適化された広告を配信できるため、適切に設定することで多くのリード獲得に繋げることが可能です。

また、リスティング広告や動画広告など、様々な配信形態を選ぶことができます。

つまり、テレビCMなど広く一般大衆にリーチさせるマス広告と違い、必要な人に必要な広告だけを届けることで、無駄な出費を抑えられるのです。

フォームマーケティングを導入する

問い合わせフォームに営業メールを送信することで、出費を抑えながら効率的にリード獲得まで繋げることができます。

もちろん、無闇にメールを送っても、迷惑メールと判断されて読まずに捨てられてしまうだけです。逆効果にもなりかねませんので、自社の製品/サービスを導入してもらうことで、その企業の役に立てるという場合にのみ利用しましょう。

フォームマーケティングで大事なのは、まずはターゲットの定義、そしてメールを送る目的とその成果目標、さらには最適なスケジュール(送るタイミングと頻度)です。

オフラインの施策も検討する

オンラインセミナーやオンライン広告など、費用面や機能面におけるオンラインのメリットに言及しましたが、ではオフラインの施策は全く必要がないかというと決してそんなことはありません。

自社の製品やサービスによっては、テレビCM、タクシー広告、DM送付(パンフレット/手紙)などオフラインの施策が有効な場合もあります。

オフラインの施策を実施する、あるいはオンラインとオフラインをうまく連動させることで、結果としてリード獲得単価がより低く抑えられる場合もあるということは、意識しておく必要があるでしょう。

施策のPDCAサイクルを回し、改善する

PDCAサイクルを回すことは、業務効率を高めるための基本的な管理手法としてよく知られていますが、リード獲得単価を抑えるためにも大いに有効です。

施策を実施した結果を分析し、次の計画にフィードバックするというサイクルを地道に継続することで、施策は確実に改善され、結果的にリード獲得単価が低下していくはずです。

何度も同じ施策を打っていると、どうしても過去のやり方を踏襲し、形骸化してしまいがちですが、PDCAサイクルを回すことでそれを防ぐことができるので、着実に成果に繋げていきましょう。

リードナーチャリングを実施する

リードナーチャリングにより購入や契約といった成果が向上すれば、無理やりリード獲得のための予算投下が必要なくなり、そこに費やすコストを他のマーケティング活動に配分するなど、最適化を進めることができます。

間接的にリード獲得単価を抑えることに繋がるのです。

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リード獲得単価(CPL)以外のKPI設定

ビジネスプロセスをつつがなく進めるためには、KPI(重要業績評価指標)の設定が必要です。リード獲得単価の目標を定めることもKPI設定の一つであり、マーケティングの方向性や施策の内容に合わせて、適切な数値を設定します。

また、マーケティング活動全体で成果を上げ、売上や利益を最大化させるためには、リード獲得単価以外のKPIも適切に設定した上で、それらも含めて検証を続け、目標までの進捗を把握することが重要になります。

KPIとは

KPI(= Key Performance Indicator、重要業績評価指標)とは、達成度合いや進捗を把握するために、ビジネスプロセスごとに設定する数値目標です。

KPIを設定し、それに対する状況を把握することで、適切なビジネス活動を行うことが可能になります。

BtoBビジネスにおけるKPI設定

KPIと関連する指標に、KGI(= Key Goal Indicator、重要目標達成指標あるいは経営目標達成指標)があります。KGIは最終的なビジネス全体のゴールを定量的に示した目標です。

つまり、KPIはゴールに向けた中間目標であり、それぞれのビジネスプロセスにおけるKPIを達成することで、最終目標であるKGIが達成できるという相関関係にあるのです。

マーケティングや営業活動におけるKGIには、例えば成約数や受注数の目標を設定します。そうすると、それに向けた具体的なプロセスがいくつも見えてくるはずです。

問い合わせ数や商談数を増やすことが必要でしょうし、そのうちどれくらい成約に至ったかという成約率の向上も重要になります。予算には限りがありますから、これまで見てきたようにリード獲得単価を抑えることももちろんその一つとなります。

KGI達成のためには、そういった一つ一つのプロセスにおける目標値をKPIとして設定した上で、それぞれ検証を続けていく必要があるのです。BtoBビジネスでは、例えば以下のようなKPIが設定されます。

・商談数
・問い合わせ数
・資料請求数
・アポイント件数
・成約率
・リピート率
・平均受注単価
・営業の個人売上高
・顧客満足度

KGIの達成に向けてはKPIをそこまで掘り下げて、詳細に渡って設定する必要がある旨、感覚的にお分かりいただけるのではないでしょうか。

まとめ

今回は、リード獲得単価とは何か、その相場と費用を抑えるコツなどについて解説しました。

リード獲得単価を抑えるためには様々な方法がありますが、いくつかを組み合わせたり、全体で最適化を進めたりすることで、より成果を上げることができます。

ぜひ実践して、ビジネスの発展に結び付けてください。

なお、他の記事では、リード獲得方法の一覧やリード獲得後のプロセスについて触れ、詳しく解説しています。ぜひそちらもご参照ください。

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