展示会は、「リード(受注につながる見込み客)獲得」に対して大きな効果のある施策です。多くの来場者と直接接触できる展示会では、名刺交換や対話を通して案件獲得を狙えます。
しかし、名刺は獲得できても商談につながらなかったり、最終的なゴールである営業案件受注までこぎつけられなかったりとお悩みのご担当者様も多いのではないでしょうか。
効率的にリード・営業案件を獲得するには、ブースを設置して名刺集めをするだけではなく、入念な事前準備や、展示会後のアフターフォローが重要です。
今回は、展示会に出展する上で重要な事前準備や展示会後のフォローの方法について解説します。
「リード獲得」とは、見込み顧客を獲得することで、「リードジェネレーション」とも言います。
リード、つまり見込み顧客というのは、自社サービスの契約につながる可能性がある層です。自社に興味を持ってくれている方、というとわかりやすいでしょうか。
また、一般的には、メールアドレスや電話番号などの連絡先を得ることをリード獲得としています。これは、獲得した連絡先を活用してリードを育成(リードナーチャリング)できるためです。
リードを獲得するには、資料請求や会員登録など興味を持っている人からのアクションを待つ他、展示会などで名刺を獲得するという方法があります。
展示会は、業界やテーマごとに開催されるビジネスイベントです。
会場では多くの出展企業がブースを設置し、各所で自社のサービスや製品を紹介しています。
展示会には各企業から情報収集のために担当者が訪れることになり、一つのブースだけではなくさまざまな企業を見て回ります。
展示会に出展するメリットは、このような来場者と気軽に直接対話したり、名刺交換をして多くの連絡先を獲得できることです。
とはいえ、すべての来場者が自社に興味を持っているわけではありません。大量に名刺を得られる分、それぞれの見込み度合いを適切に測ることが大切です。
展示会で多くのリードを獲得するには、事前準備が重要です。
こちらの項目では、以下の5つの事前準備について解説します。
展示会に出展する前に、出展する目的と目標を設定しましょう。
最終的な目的として挙げられることが多いのは、「認知度アップ」「案件獲得」です。
可能であればそのゴールに対応した数値目標を立てるとさらによいでしょう。たとえば、「○件案件を獲得するため、1日目は名刺を150枚獲得する」などですね。
なぜこのような目的を明確にすべきかというと、これが事前準備の軸になるからです。
目的を設定することで、その目的に合わせた来場者層・規模の展示会を選定できるほか、当日のオペレーションを設計しやすくなります。
目的を設定したら、どの展示会に出展するか考えます。
展示会はテーマや業界ごとに開催されているので、ある程度の絞り込みは可能でしょう。その上でさらに自社製品に興味を持ってもらえるような層が訪れる展示会を選びたいですね。自社製品をどのような層にアプローチしたいのかを想定することが重要です。
展示会の概要だけでは実際の雰囲気がわからず選定に悩む場合は、過去の開催実績を調べたり、主催者側の担当者や出展経験のある知り合い等に尋ねたりするのもよいでしょう。
展示会では、多くの企業がブースに訪れたお客様にパンフレットやカタログなどの資料を配布しています。このような販促ツールは、自社サービスを印象付けるとともに、持ち帰り後の検討材料ともなり得るため重要です。
ただし、来場者は自社だけではなく他社の資料も多く受け取っています。そのため、他社との差別化として、よりわかりやすく興味を引くようなデザイン・内容のものを準備しましょう。
また、資料の他に社名やロゴの入ったボールペンなどのノベルティを配布するのも、来場者にとってメリットとなるためおすすめです。
展示会に設置するブースは、立ち寄りやすいデザインを採用しましょう。
たとえば、ぱっと見て何が展示されているかわかるブースと、中がよく見えず何があるのかわからないブースでは、どちらが立ち寄りやすいでしょうか?
さまざまな企業のブースを回っている来場者には、じっくりとブースを見ている時間はありません。そのため、視認性がより高いブースに流れます。
また、中が見えにくい閉鎖的なブースは、テーマもわかりづらく入りづらいと感じる人もいます。ブースデザインを設計する際は、開放的で入りやすいレイアウトにすると立ち寄りやすくなりおすすめです。
展示会当日のオペレーションを丁寧に設計しておくと、効率的に集客を行えます。
ブース内での役割分担もその一つです。集客担当や詳細の説明をする営業担当など、ある程度の役割分担を行うことで、来場者にスムーズに対応できます。休憩時間も考慮して人員を構成しましょう。
さらに「情報収集中」「製品導入の比較検討中」など、個々の見込み度合いを測るための会話を用意しておき、そのレベルに応じて伝えるメッセージを変えるとより効率的にリード獲得を狙えます。
また、受け取った名刺の保管場所なども共有しておきましょう。
このように、当日の対応について計画しておくと、限られた出展期間を有効に使えます。
展示会でより多くリード獲得をするポイントは、以下のとおりです。
展示会でより多くのリード獲得を狙うなら、自社の顧客を展示会に招待するのがおすすめです。DMで案内状を送付してもよいですし、FacebookなどのSNSでお知らせするのもよいでしょう。
ところで、展示会出展の目的は新規顧客の獲得なのに、なぜ既存顧客を招待するのでしょうか。
一つは、ブースの盛り上がりを演出できるためです。人がまったくいないブースだと少し入りづらいのが想像できますよね。招待した顧客がブースに立ち寄れば人が増え、入りやすい環境になります。
もう一つは、展示会は既存顧客と接触する機会としても活用できるためです。顧客はすでに自社サービスを利用していますが、展示会に招待すればもっと自社について知ってもらえます。新製品の説明をするのもよいでしょう。
展示会に既存顧客を招待すると、あらためてサービスについて深く理解してもらえる、つまり、ナーチャリングの機会になり得るのです。
より多くのリードを獲得するには、展示会で配布する販促ツールやノベルティを活用するとよいでしょう。
展示会では自社以外の出展企業もパンフレットなどの販促ツールを配布しています。来場者はこれらの資料を多く受け取っているため、自社の資料が埋もれてしまわないような工夫が必要です。
たとえば、自社のカラーを使いわかりやすいデザインにし、他社との違いやユーザーメリットがひと目でわかるキャッチフレーズを掲載した販促ツールを作成するという方法もあります。
ノベルティなどのわかりやすいグッズで来場者にメリットを用意するのもおすすめです。
このように、来場者が自社のブースに来ることで得られるメリットを用意し、さらに招待状やお知らせに記載すると高い集客効果が見込めます。
ブースの集客効果を高めるには、ブース周りのデザインの他、当日の呼び込みも重要です。
なぜなら、もともと興味のある来場者であれば何もせずともブースに来てくれますが、もちろんそうでない人も多くいるからです。
ブースに来場者を呼び込む際には、大声でアピールするよりも、一人ひとりに話しかけるような呼び込みが有効です。このように声掛けすると、そのまま直接対話に持ち込むこともできます。来場者のニーズもより感じ取れるのではないでしょうか。
また、製品の実演説明を行うと周囲の興味を引き付けられます。実演を見るために足を止める人が増えると、「ブースに人が集まっている」とさらに興味を持った人がやってきますので、このような呼び込み方法も効果的です。
ブース内には、個別相談が可能な説明スペースを確保しておきましょう。
来場者の中には、「いま詳しく話を聞きたい」と興味を示してくれる人もいます。そのような人のために、落ち着いて個別相談を行えるスペースがあるとよいですね。
また、オペレーション設計の際に、個別相談の対応の流れや、時間も決めておくとスムーズです。長時間にわたり個別相談を実施してしまうとお互いの時間がもったいないため、必要に応じて後日アポを設定するなどの対応が必要です。
オペレーション設計に沿って相手がどのくらい興味を持っているか対話の中で測り、必要であれば説明スペースへ案内するとよいでしょう。集客担当から営業担当への引き継ぎのタイミングも共有しておくと、来場者にストレスをかけずに済みます。
展示会でより効率的にリードを獲得するには、アンケートの取得をするのがおすすめです。
アンケートには、来場者が展示会に訪れた目的の他、当ブースについての感想や自社に対する見込み度合いについても記載しておきます。回答方法は来場者が答えやすいよう、チェックなどの選択式にするのもよいでしょう。
また、対応した担当者がヒアリングを行いながら自分でアンケートを記入していくという方法もあります。来場者にアンケートを記載するという労力をかけさせず、適当に記入されることもないのでよい方法です。
取得したアンケートは出展期間後に集計するよりも、その日のうちに確認して人員配置の改善や対応改善のため活用しましょう。
より多くのリード獲得を目指すのであれば、出展期間中に取得したアンケートや来場者の反応を元に臨機応変に対応していくことが大切です。
たとえば、もともと設計していたオペレーションで来場者の反応がいまいちだった場合は、なぜ反応が良くなかったのかアンケートなどで確認します。
来場者の層によっては通常の商談で使っている用語が伝わらないということもあるため、その場合はより伝わりやすい言葉に差し替えます。
また、急な人員変更があった場合も慌てず対応できるよう、オペレーション共有を徹底しておきましょう。他のスタッフが入ったときのためにも、対応マニュアルを作成しておくとよいのではないでしょうか。
展示会で多くの名刺やアンケートを獲得したら、それだけで終わらせるのはもったいないことです。
獲得したリードに対して、以下のようなフォローを行いましょう。
展示会で無事リードを獲得できたら、それらをデジタル化して素早くフォローを行いましょう。
デジタル化したリードデータを顧客管理システムやメール配信ツールなどへ連携すれば、お礼メールやメルマガを効率的に配信できます。
取得した名刺をデジタル化するには、スマホのアプリで撮影する・スキャナを持参して取り込むといった方法があります。コンパクトな名刺用スキャナも存在しますので、こういったツールを活用してその日のうちにリードをデータ化しましょう。
また、名刺のデータ化を外注するという方法もあります。外注の場合も、早めにデータ化を完了し、フォローを行えるようすぐに依頼することが大切です。
展示会後は、獲得した名刺の情報からメールアドレスを抽出してお礼メールやメルマガ配信を行いましょう。
展示会来場に対するお礼メールは、できる限り早めに送付するのがおすすめです。来場者の記憶が強く残っているうちにお礼メールを送付することで、反応してもらえる確率が高くなります。
また、メール配信ツールなどを利用し、お礼メールの開封率やクリック率を測定するとリードの興味度合いがわかります。
お礼メールを送付した後は、見込みレベルや必要に応じてメルマガなどのコンテンツを配信していきましょう。
展示会では大量に名刺を獲得できますが、その中には自社に強い興味を持つリードもあればそうではないリードも存在します。
場合によっては競合他社の名刺も混ざっており、これらはリードにはなり得ませんよね。
そのため、獲得した連絡先すべてに同様のアプローチをするのは効率が悪いと言えます。
そこで必要なのが、獲得リードのランク分けです。まずは、獲得したリードがどのようなレベルにあるのかを3段階くらいに分けてみましょう。
たとえば、レベルの高い順に「①申し込みたい/導入したい」「②検討中」「③認知はしている」(「④リードになり得ないため除外」)といった層に分けてみるなどです。
このように獲得リードのランク分けをすると、次の項目で解説するナーチャリングの効率も上がります。
リードを獲得し、見込みレベルごとに振り分けたら、それぞれに対応したリードナーチャリング(見込み客の育成)を行いましょう。
「申し込みたい、相談したい」と考えてくれている層には打ち合わせなど直接契約につながるような予定を打診、「検討中」という場合はメルマガなどで実際の活用事例などを配信する、などですね。レベルごとに対応担当部署を分けるのもよいでしょう。
このように、リードを獲得したらこちらから継続的に接触することが重要です。適切なリードナーチャリングを実施できれば、展示会後すぐではなくとも今後の案件獲得につながります。
多くのリード獲得を目指す上で、展示会出展は有効な施策です。
しかし、多くの名刺を獲得してもそれらすべてがリードになるわけではありません。来場者はおもに情報収集に訪れているため、多くの企業を回っています。そのため、他社と比較した時に自社の魅力が最大限に伝わるように事前準備したいですね。
また、名刺を獲得したらフォローをしっかりと行いましょう。お礼の連絡はもちろんのこと、継続的に適切な接触を持つことで商談機会・案件獲得につながります。
見込みレベルに応じたリードナーチャリングも欠かせません。レベルごとに適切な対応を行い、最終的な案件獲得までつなげて行きましょう。