BtoBマーケティングでホワイトペーパーを作成するメリットとは?

ホワイトペーパー施策に取り組んでいる、または取り組もうとする中で、自社にとって、ホワイトペーパーはメリットがあるのか疑問に思われている方もいるのではないでしょうか。

特に、BtoBマーケティングの施策において、ホワイトペーパーは有益なツールであり、使いこなさない手は、ありません。

本記事では、その根拠を解説していきます。

ホワイトペーパーとは

ホワイトペーパーとは、一言でいうと、自社が持つデータ・ノウハウなどの専門知識、業界内の最新動向をまとめた資料のことです。

業界で課題とされているテーマについて、企業が持っている専門知識を最大限に活かし、解決に役立つホワイトペーパーを公開することで、自社の専門性の証明や権威性の向上につながります。

そもそもホワイトペーパーとは何かを詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。

ホワイトペーパーはBtoBビジネスとの相性が良い

ホワイトペーパー特にBtoBビジネスとの相性が良いといえます。その理由は、BtoBビジネスにおける「購買の意思決定のプロセスの特徴」にあります。

BtoBビジネスでは、購買する製品・サービスが基本的に高額です。

そのため顧客の担当者は、購買に至るまでに製品・サービスの機能や、複数のサービスとの比較、費用対効果などを充分に検討する必要があります。 

また、購買決定者と実際の利用者が異なっていたり、意思決定者が複数人存在するため、情報収集から購買決定に至るまでのプロセスが多くなります。

※参考として、BtoCビジネスとBtoBビジネスを比較しました。

BtoCBtoB
対象生活者会社や団体
顧客数多い(日本で最大1億人)少ない(日本で最大400万社)
利用者原則、購買者と同じ購買者と違うケースがある
購買時に重視される点ブランドや付加価値機能や実績
購買関与者の数1人複数人
購買目的所有、体験課題解決
購買単価少額(数百円〜数万円)高額(数万円〜数億円)
検討期間短期間(数日〜数週間)長期間(数週間〜数ヶ月)

そのようなBtoBビジネスのマーケティング施策において、ホワイトペーパーを活用することは「顧客との関係性構築」に役立ちます。

ホワイトペーパーには、顧客からの信頼につながる価値ある情報や、抱えている悩みを解決する情報が含まれているからです。

価値あるホワイトペーパーに触れた顧客の心の中に芽生えるのは、例えばこんな感情です。

  • 「この企業が発信するコンテンツは、役に立つ」
  • 「我々が抱えている課題を、よく理解してくれている」
  • 「ノウハウを無料で教えてくれて、良心的な会社だ」

その結果、自社で解決できる課題を顧客が抱えたときに、「あの会社の話を聞いてみようかな」と、ビジネス上の取引に発展することが期待できます。

ホワイトペーパーがもたらすメリット

では、ホワイトペーパーをマーケティング施策で活用していくことで、どのようなビジネスメリットがもたらされるかご紹介します。

顧客情報の獲得がしやすい

1つ目のメリットは、顧客情報の獲得がしやすいことです。

例えば、課題が明確化できておらず、情報収集をしている段階の顧客にとって、相談の問い合わせやサービス資料の請求はハードルが高いものに感じてしまいます。

そういった顧客に対しては、広く興味を持ってもらえるホワイトペーパーを作成し、顧客情報と引き換えにダウンロードできるようにしておきます。

そうすると、そのテーマに関心があったり、情報やノウハウを知りたいと思った顧客からのダウンロードにつながり、顧客情報の獲得ができます。

このように、問い合わせやサービス資料のダウンロードに至る前段階の顧客でも新規リードとして獲得することができます

顧客の課題を顕在化できる

2つ目のメリットは、ホワイトペーパーによって顧客が抱えてる課題の顕在化を後押しできることです。

課題が顕在化されていない状態から製品・サービスの比較検討をする状態に進むには、その製品・サービスで解決できる課題について、自分ごと化してもらう必要があります。

例えば、弊社であれば、ホワイトペーパー制作代行サービスを提供していますが、ホワイトペーパーの必要性を全く感じていない人に、いくらホワイトペーパーの作成方法や弊社の代行サービスの魅力をお伝えしても、検討には至らないでしょう。

まずは、近年のマーケティング施策における課題を挙げたうえで、ホワイトペーパーを作るべき理由、得られる便益などを解説して、ホワイトペーパーの必要性や制作代行という選択肢を自分ごと化してもらう必要があります。

そのように、ホワイトペーパー内で、企業が抱える課題の解決手段として自社製品・サービスが有効であることを丁寧にかつ、論理立てて説明できれば、「役立つかもしれない、話を聞いてみようかな」と比較検討のきっかけ作りにもなります

営業活動の効率化につながる

ホワイトペーパーは営業活動の効率化にもつながります。

ホワイトペーパー内で、自社の製品・サービスについて、丁寧に説明できていれば、顧客の自社製品・サービスへの理解を高められます。

ホワイトペーパーを読んでくれている人との商談時には、基本的な説明を省いてより詳細なヒアリングや提案に時間を充てることもできるでしょう。

また、ホワイトペーパーは顧客がダウンロードすることで、顧客の抱えている課題や検討意向を推測することもできます。

例えば、「Facebook広告の運用ノウハウ」というホワイトペーパーをダウンロードしている人であれば、少なくとも「Facebook広告の運用」に興味を持っており、現状の運用に何か課題を感じているのかもしれません。

その他にも、「製品・サービスの導入事例集」をダウンロードしている人であれば、製品・サービスの検討に既に前向きである可能性もあるでしょう。

このように、顧客がダウンロードしているコンテンツから顧客のニーズや意向を予測し、より質の高い提案につなげることもできます。

ホワイトペーパーのデメリット

一方で、ホワイトペーパー施策には、デメリットもあります。

制作に時間とコストがかかる

1つめのデメリットは、制作に時間とコストがかかることです。

ホワイトペーパーの肝となるのは、“顧客にとって価値のある情報提供”です。そのためには、詳細なリサーチや分析・研究といったプロセスに、時間と労力をかける必要があります。

さらに、情報やデータを視覚的にデザインし、専門知識を持たない顧客層にも理解しやすくまとめるためには、外部のデザイナーに依頼するなどの制作リソースも必要となります。

収益性への貢献は中長期的である

2つめのデメリットは収益性への貢献は中長期的であることです。

基本的にホワイトペーパーは、契約や申込みなどの購買行動を促す販促資料とは役割が異なり、検討段階に至っていない潜在顧客や見込み顧客向けに提供する資料です。

そのため、課題が顕在化している顧客向けの施策と比べて、成果が出るまで時間がかかりやすいです。ホワイトペーパーをダウンロードした顧客がすぐに受注に至るというケースは、ゼロではありませんが多くはありません。

すぐに成果に直結しないからと、ホワイトペーパーの制作をやめてしまう企業が見られますが、もったいないことです。

あらかじめ、「ホワイトペーパーの成果は、数ヶ月〜1年の中長期目線で、長く安定的に伸ばしていく」というスタンスで取り組むことで、途中の挫折を防ぎましょう。

また中長期的に取り組むうえで、しっかりとホワイトペーパーのマーケティング戦略を立てることも重要となってきます。

この次は、ホワイトペーパーのマーケティング戦略の立て方について解説します。

ホワイトペーパーのマーケティング戦略の立て方

ホワイトペーパーを活用したマーケティング戦略の立て方には、キーポイントが5つあります。

①何のために(目的)
②誰に対して(ターゲティング)
③何を(コンテンツ)
④どのように届けるか(チャネル)
⑤費用対効果の算出(シミュレーション)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①何のために(目的)

まず最初にすべきことは、「何のために?」の目的を明確にすることです。

目的は、 “ホワイトペーパー上で実行すべきこと” の内容および優先順位を決める道しるべとなります。

目的は、企業によって・事業フェーズによって・抱えている課題によってなど、さまざまです。以下に例を挙げましょう。

▼ 目的の例

1.潜在顧客の獲得
2.潜在顧客の見込顧客化
3.見込顧客の獲得
4.見込顧客の検討顧客化
5.検討顧客の獲得
6.検討顧客の新規顧客化

ホワイトペーパー 何のために(目的)

自社のマーケティング課題がどこにあるのか見極めて、目的を明らかにしましょう。

②誰に対して(ターゲティング)

次は、「誰に対して?」を考えていきます。

どういった特徴を持つ顧客を、読者として想定するのか、絞り込みます。

  • 業界
  • 従業員数
  • 地域
  • 役職、職種
  • 導入サービス
  • 関心事

顧客像を固めるときは、市場調査や、実在する自社の顧客に共通する特徴、社内に蓄積された経験知など、ファクト(事実)を根拠としながら、練り上げていきましょう。

③何を(コンテンツ)

ターゲットが明確になったら、「何を?(コンテンツはどうするか?)」を検討していきます。

ターゲット像を詳細に描けていれば、ターゲットにとって必要なコンテンツは何か、おのずと見えてくるはずです。

もし、全く見えてこない場合には、対象とするような顧客と直接話すなど、より理解を深めて、ターゲットへの解像度を上げる必要があります。

コンテンツを明確化するうえで押さえるべきポイントは、以下の2つです。

  • どの種類を選ぶか?
  • どんなテーマにするか?

まず、ホワイトペーパーの種類には、以下の6つがあります。「ターゲット顧客が抱える課題を解決するために、最も適切な種類はどれか?」という視点で、種類を選定しましょう。

▼ ホワイトペーパーの種類

種類解決できる顧客課題
(1) トレンド型業界の最新動向や最新サービスに遅れることなく、キャッチアップできる2023年アフターコロナ時代の人材業界動向
(2) 成功事例型同業界や同規模の企業の成功事例を知ることで、サービスを導入した際の効果を想像できる食品業界大手5社が導入した成功事例集
(3) サービス比較型同ジャンルで似たようなサービスが乱立する中で、「料金」「機能」「デザイン」など特徴の違いを手間なく比較できるAIチャットボットの20ツールを徹底比較
(4) イベントレポート型参加できなかったイベントやセミナーの内容を得られるゼロから始めるECサイト立ち上げセミナー
(5) ノウハウ提供型製品・サービス関連や施策の専門知識を綱羅的に把握できるリモートワーク導入のノウハウを大公開
(6) 調査レポート型アンケートやインタビューを通して収集された、信頼度の高いデータや情報を得られるマーケティング投資に関する調査レポート

次に、「どんなテーマにするか?」については、ターゲット顧客が強い興味関心を寄せているトピックからアイデア出しを行います。

テーマについては、顧客の声にヒントが隠れていることが多いので、自社の顧客の声を直接収集して、最適なテーマを探しましょう。

▼ 顧客の声を収集する機会

打ち合わせ時営業担当者やコンサルタントが、打ち合わせ時によく聞かれる質問や顧客課題をなど集める
セミナー時営業・マーケティング担当者がセミナーを開催した際に、満足度が高かったテーマや感想の声を集める
コンテンツ提供時メールマガジン配信や記事公開をした際に、閲覧数やクリック数など反応が良かったテーマを集める

④どのように届けるか(チャネル)

ここまでの3つの要素(目的 / ターゲティング / コンテンツ)が固まると、実際にホワイトペーパーの作成に着手できるようになるはずです。

と同時に、緻密に設計しておきたいのが、ディストリビューション(配布)の戦略です。

「どのように届けるか?」のチャネルを選定しましょう。

ホワイトペーパーを配布できるチャネルの選択肢として、以下があります。

種類
(1) 自社サイト・記事コンテンツ ・ランディングページ 
・お役立ち資料一覧ページ ・プレスリリース
(2) 個別配布・商談 ・メール
(3) Web広告・リスティング広告 ・各種ディスプレイ広告
・リターゲティング広告 ・SNS広告
(4) 比較コンテンツ提供サイト・BOXIL(ボクシル) ・LISKUL(リスクル)
(5) ビジネス系メディア・日経ビジネス  ・東洋経済

どの選択肢が適しているかは、ターゲットとしている顧客層やかけられる予算によって異なります。自社にとっての最適解をよく検討することが重要です。

⑤費用対効果の算出(シミュレーション)

最後に5つめのポイントとして、費用対効果の算出を、きっちりと行なっていきましょう。

他のプロモーションでは必ず費用対効果を計算しているのに、ホワイトペーパーとなると、計算せずにどんぶり勘定となっている企業も見られます。

しかし、費用対効果の算出することで、大胆な投資も可能になり、ビジネス機会を拡大できます。

費用対効果を算出する際は、最低限として以下3つを算出するのが良いでしょう。

1.リード獲得単価(リード獲得にかかった費用÷リード獲得数)
2.商談獲得率(商談獲得数÷リード獲得数)
3.商談獲得単価(リード獲得単価÷商談獲得率)

それぞれの算出方法を説明します。

<1.リード獲得単価>

リード獲得単価は、リード獲得にかかった費用÷リード獲得数で求められます。

(例)100万円の広告費用をかけて200件のリードを獲得した場合、「1,000,000÷200=5,000」で、リード獲得単価は5,000円

<2.商談獲得率>

商談獲得率は、商談獲得数÷リード獲得数で求められます。

(例)200件のリードに対して、商談を20件獲得した場合、
「20÷200=0.1」で、商談獲得率は10%

<3.商談獲得単価>

商談獲得単価は、リード獲得単価÷商談獲得率で求められます。

(例)リード獲得単価5,000円で商談獲得率は10%(0.1)の場合、
「5,000÷0.1=50,000」で、商談獲得単価は50,000円

▼ シミュレーション(目安数値) 

1ヶ月以内1年以内
リード獲得単価5,000〜15,000円5,000〜15,000円
商談獲得率(商談獲得数÷リード数)10%10〜30%
商談獲得単価(リード獲得単価÷商談獲得率)50,000〜150,000円16,666〜150,000円
※ホワイトペーパー制作コストは除く

実際には、リード獲得単価や商談獲得率など自社のデータをもとにシミュレーションを行なってみてください。

成果が出るホワイトペーパー作成の方法

メリットを最大限まで得られるホワイトペーパーを作るには、やみくもに着手するのではなく、適切な手順に従って作ることが大切です。基本的な流れは、以下のとおりです。

  • 【Part 1】企画・テーマを策定する
    – 顧客フェーズ
    – 顧客像
    – マーケティング課題
    – テーマの選定
  • 【Part 2】構成を作る
    – ストーリーラインをイメージする
    – 構成案としてアウトプットする
  • 【Part 3】文章を作る
    – タイトル
    – 本文
  • 【Part 4】デザインを作る
    – 情報をわかりやすくデザインに落とし込む
    – 表紙

上記の詳細は以下の記事でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

まとめ

本記事では、「ホワイトペーパーのメリット」をテーマに解説しました。

要点を簡単にまとめます。

  • ホワイトペーパーはBtoBビジネスとの相性が良く、「顧客との関係性構築」のツールとして活用できる
  • ホワイトペーパーのメリットは「顧客情報の獲得がしやすい」「顧客の課題を顕在化できる」「営業活動の効率化につながる」の3つが挙げられる

また、ホワイトペーパー施策に取り組むうえでホワイトペーパーのマーケティング戦略の立て方についても解説しました。キーポイントは以下の5つでした。

  • 何のために(目的)
  • 誰に対して(ターゲティング)
  • 何を(コンテンツ)
  • どのように届けるか(チャネル)
  • 費用対効果の算出(シミュレーション)

ぜひ本記事を、ホワイトペーパーを武器に変える一助としていただければ幸いです。

 

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