ホワイトペーパーをいざ作ろうとすると、
「どうやって、作ればいいのだろうか?」
と迷ってしまう方が多いのではないでしょうか。
ホワイトペーパーを、どう作るか?は、非常に重要です。作り方次第で、成果が大きく変わるためです。
この記事では、ただ見た目をキレイに作るだけではない、
「本当に読者の役に立ち、結果として自社の成果に結びつくホワイトペーパーの作り方」
を解説します。
初めてホワイトペーパーを作る方から、既存のホワイトペーパーの効果を高めたい方まで、参考にしていただければ幸いです。
ホワイトペーパーの作り方を解説する前に、心構えとして認識しておきたいポイントからお伝えします。
前提となる考え方のベースがない状態でホワイトペーパーを作り始めても、よいホワイトペーパーは作れないからです。
ホワイトペーパーとは、直訳すれば「白書」のことですが、BtoBビジネスにおいては、企業が作成して顧客に配布する、資料的な文書のことを指します。
ホワイトペーパーの配布方法としては、PDFファイルにして自社のWebサイトに掲載し、顧客情報の入力と引き換えに、無料ダウンロードしてもらう手法が多く使われています。
ここで重要なポイントは、顧客に配布する文書といっても、ホワイトペーパーは、営業販促を目的とした商談資料、提案書、パンフレット、商品の規格書などとは、まったく異なる役割を持つことです。
この点を、はっきりと認識しておきましょう。非常に重要となるマインドセットです。
具体的には、自社調査レポート、統計データ、お役立ちノウハウなど、顧客にとって情報価値のあるコンテンツをホワイトペーパーにまとめます。
ホワイトペーパーに関するよくある勘違いは、
「ホワイトペーパー=リスト取りの手法」
という認識です。
たしかに、ホワイトペーパーによってリストは取れるのですが、ホワイトペーパーの真価がリスト取りにあると誤解していると、大きな失敗につながるリスクがあります。
「できるだけ多くリストを取れるホワイトペーパーを作ろう」
という目的意識になるからです。
しかし、最大化すべきはリスト数ではなく、実際に売上を生み出す見込み顧客の数であり、LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)のはずです。
ホワイトペーパーの真価は何かといえば、ホワイトペーパーというツールを通じて顧客に「価値」を提供すると、顧客と良好な関係が築けるということです。
極論をいえば、真に優れたホワイトペーパーは、顧客情報の入力なしにフリーでダウンロードしてもらっても、ビジネス成果に貢献します。
ホワイトペーパーの価値に感動した顧客との間に関係性ができ、その顧客から支持されるようになるからです。
ホワイトペーパーを作るときに最も意識したいのは、
「リストをたくさん取れるホワイトペーパー」ではなく、
「読んだ人が感動するほど、内容に価値のあるホワイトペーパー」を作る
……という視点です。
では、価値あるホワイトペーパーとは、どんなホワイトペーパーでしょうか。4つの条件があります。
▼ 価値あるホワイトペーパーの4つの条件
【希少性】独自化する | 利用データ、アンケート、顧客の声など、自社が業務や調査を通じて直接取得したオリジナルの情報を活用すること |
【体系性】キュレーションする | 一般公開されているバラバラの情報を整理してまとめたり、ある情報を別の分野の情報と関連付けしたりすること |
【容易性】翻訳する | 通常は専門用語が多用されるような難解な内容を、誰もが理解できる分かりやすい文章表現・画像表現 (イラストや図など) に置き換えること |
【信頼性】権威付けする | 提供する情報が正確であり、必要な情報が漏れなく含まれている点をチェックする専門家の監修があること |
これらの条件を、多く満たしているほど「価値あるホワイトペーパー」と評価できます。
次章より、具体的な作り方を解説していきますが、4つの条件を満たすという大前提を念頭に置きながら、ホワイトペーパー作りを進めていただければと思います。
さて、ここからはホワイトペーパーの具体的な作り方を、4つのパートに分けて解説していきます。
まずは企画・テーマの策定から、取り組んでいきましょう。
まず、どの層の顧客に向けてのホワイトペーパーなのか、顧客フェーズを明らかにしましょう。
たとえば、BtoBビジネスならば、[マーケティング]→[インサイドセールス]→[フィールドセールス]のフェーズに分類できます。
顧客フェーズによって、ホワイトペーパーの役割が変わってきます。どのフェーズに合わせてホワイトペーパーを作りたいのか、明確にしておきましょう。
次に、顧客像をできるだけ詳細に描いていきます。
業界、従業員数、地域、役職、職種、導入サービス、関心事……などを、紙に書き出します。
わからない部分は、顧客データを分析したり、営業担当者にヒアリングしたりして、必要な情報を収集します。
協力してもらえる顧客がいれば、直接ヒアリングするのも、よい方法です。
最終的には、以下のような「ペルソナシート」にまとめておくと、チーム内でも共有しやすくなります。
続いて「マーケティング課題」を明確化しておきます。
▼誰に対して:ホワイトペーパーを読んでもらいたい相手は誰か?
業界、企業規模、役職、職種、自社との関係性などで絞り込む
例)広告業界で従業員300名以下の中小企業 分析ツールを検討中の事業部長
▼解決する課題:相手のどのような課題を解決するか?
例)業界のトレンドを広くおさえたい、専門知識やノウハウをつかんで業務を進めたい、
各サービスの違いを知りたい、サービス導入時の効果をイメージしたい
▼理想の状態:ホワイトペーパーを読んだ相手がどのような状態になるか?
例)会社の専門性の高さを理解し記憶に残った状態、サービス導入のメリットや効果が分かり、ツール選定にあたり商談を進められる状態
ここでは、
「ホワイトペーパーを読んでもらうことで、誰のどのような課題を解決し、(⾃社にとって)どのような状態になってほしいか?」
を、熟考しましょう。
ここまでに整理した情報を踏まえて、
「どんなテーマのホワイトペーパーが、最も目的を達成できるか?」
という視点から、アイデア出しをして、テーマを選定します。
アイデア出しのヒントとして、検索エンジンの関連キーワード調査が役立ちます。
関連キーワードは、Googleのキーワードプランナーや、キーワードリサーチツール「ラッコキーワード」などで、調査できます。
ほかにも、以下のような情報源を活用し、多角的にテーマを検討しましょう。
次のプロセスは「構成」です。
「どの情報を、どの順番で出し、読者にどう理解し感じてもらうか?」
というストーリーラインを設計しましょう。
具体例を挙げると、以下は最もよく使われている「問題解決型」のストーリーラインです。
目の前にいる顧客に、プレゼンテーションするときのように、わかりやすく納得してもらえる話の構成を考えます。
考えたストーリーラインは、構成案としてアウトプットしましょう。スライドのタイトルと概要をまとめておくと、このあとの制作プロセスがスムーズになります。
以下は構成案の事例です。
P. 1 | 表紙 | はじめてのITエンジニア採用を成功させるコツ |
P. 2 | はじめに | 当ホワイトペーパーの背景や目的の説明 |
P. 3 | 目次 | 各スライドのタイトルと対応するページ数の一覧を掲載 |
P. 4 | エンジニア採用市場の課題感 | エンジニアをはじめとしたIT人材が年々不足していることが分かるような調査データを掲載 |
P. 5 | エンジニア採用課題の要因分析 | 「優秀なエンジニアが見つからない」「求められる報酬を出すことができない」「エンジニア層に自社の存在を知ってもらえていない」など課題と要因を列挙 |
P. 6 | エンジニア採用課題には、エンジニア理解が解決の鍵 | 一方で、有名でない中小企業であったとしても、理想的なエンジニアの採用に成功しているケースは存在し、それは働く仕事環境や人、事業の特徴などが、一部のエンジニアに魅力的に感じられたからであるため、それを理解して打ち出していけるようにすることが重要であるという説明 |
P. 7 | エンジニア理解の解決策(1)エンジニアが書く公開記事を読む | エンジニアの知識記録・共有サービスをはじめ記事を読むことで、エンジニアが何に関心を持ち、何に喜びや怒りを感じるのかを知るという説明 |
P. 8 | エンジニア理解の解決策(2)直接エンジニアに話を聞く | 知り合いにエンジニアを紹介してもらったり、カジュアル面談サービスを使ったりして話をすることで、自社のエンジニア募集要項にフィードバックをもらうといった説明 |
P. 9 | エンジニア理解の解決策(3)プログラミングを勉強してみる | 本やプログラミングサイトを参考に実際にコードを書いてみることで、エンジニアと円滑なコミュニケーションが可能にできるようにするという説明 |
P. 10〜 | サービス紹介 | サービス概要・顧客事例・会社概要・お問い合わせボタンを掲載 |
構成について詳しくは効果的なホワイトペーパーの構成とは?基本的な考え方と作成方法にて解説しています。あわせてご覧ください。
構成案ができたら、その構成案をもとに、文章へとまとめていくステップです。
まず重要となるのが、ホワイトペーパーの「タイトル」です。次の3つの条件を満たす必要があります。
「プロブレム→ソリューション(問題→解決策)」で骨子を作ったあと、肉付けするプロセスでアイキャッチ力を高めると、優れたタイトルを作りやすくなります。
▼ 作成例
1. プロブレム(問題) | カスタマーサポートがうまくいかず顧客離れに不安がある |
2. ソリューション(解決策) | FAQシステムを導入する |
3. タイトルの骨子 | カスタマーサポートの失敗で起きる顧客離れをFAQシステム導入で解決する方法 |
4. タイトルの肉付け | CS現場で起きる5つの失敗とは?解決するFAQシステム17事例 |
詳しいプロセスは、 ダウンロードされるホワイトペーパーの「タイトルの付け方」とは?にて解説していますので、あわせてご覧ください。
タイトルのアイキャッチ力を高める簡単な工夫としては、以下の4つも参考にしてみましょう。
時代性ワード | ○○の最新トレンド2023年 |
成功失敗ワード | ○○を成功に導く失敗しない○○成功○選 |
簡単ワード | 5分でわかる基本の「キ」簡単○つのポイント |
信頼性の数字 | コンバージョン率を○%に改善費用を○○にした○○件以上の調査をもとにした |
ホワイトペーパーの文章で心掛けるべきことは、「論理的で理解しやすいいこと」です。
論理的で理解しやすい文章にするためには、「主張」「理由」「事実」「前提」のセットを意識することがカギとなります。
概要 | 例 | |
---|---|---|
主張 | 言いたいこと・訴えたいこと | 地球は青い惑星だ |
理由(解釈) | 「主張」の確からしさを示す要素 | 大半が海で覆われているから |
事実(データ・実例) | 「主張」「理由」を補強する客観的な材料 | ある宇宙飛行士も「地球は青かった」と発言した |
前提(共通認識) | 「主張」「理由」「事実」で説明が不必要なこと | 海は青い |
最後に、文章をデザインして、ホワイトペーパーを仕上げていきます。
ホワイトペーパーのデザインで最も重要なのは、「情報をわかりやすく伝える」ことです。
必要なのは、感覚的なセンスを駆使したアーティスティックな分野のデザインではありません。「データビジュアライゼーション」や「インフォグラフィック」と呼ばれる分野のデザインが求められます。
具体的に意識したいポイントは、以下のとおりです。
上記の詳細はこれさえ読めば失敗しない「ホワイトペーパーのデザイン」重要ポイントにて、図解つきで解説しています。
情報をわかりやすく伝えると同時に意識したいのは、「プロフェッショナルに見えること」です。
どういうことかといえば、たとえば、“新入社員が作った初めてのパワポ資料”のような雰囲気で、見栄えが劣っているホワイトペーパーを想像してみてください。
内容も専門的ではない、と勘違いされるリスクがあります。
内容の専門性や権威性を演出する意味で、プロフェッショナルに見えるデザインを心掛けましょう。
具体的なポイントとして、以下が挙げられます。
こちらも詳細はこれさえ読めば失敗しない「ホワイトペーパーのデザイン」重要ポイントにて解説しています。
ホワイトペーパーの顔となる「表紙」は、ダウンロード数や閲読率、読了後の満足度に影響を与えます。
▼ ホワイトペーパーの表紙例
ホワイトペーパーの表紙には、次の4つの要素を配置しましょう。
デザインのポイントは、こちらです。
詳しくは「ホワイトペーパーの表紙」はこう作る!掲載要素とデザインのコツをご確認ください。
最後に、ワンランク上のホワイトペーパーを作りたい方向けのヒントをお伝えします。
質の高いホワイトペーパーを作るのは、簡単なことではありません。労力や時間を十分にかけて、すみずみまで丁寧に作り込んでこそ、求める成果にたどり着けます。
ホワイトペーパーに割くリソースを確保して、じっくりと取り組むことが大切です。
米国では、ホワイトペーパーを書くときに、こんな問いをすることがあります。
“What would the Wall Street Journal do?”
「ウォール・ストリート・ジャーナルなら、どうする?」
ウォール・ストリート・ジャーナルは、ニューヨークで発刊されている世界最大の経済新聞です。
ウォール・ストリート・ジャーナルのように調査し、分析し、論理的に情報を整理して、わかりやすく伝えるために、どうすればいいか?と考えます。
イメージしにくければ、普段購読している新聞やビジネス誌に置き換えてみましょう。
たとえば、「◯◯社なら、どうする?」という具合です。
現実的には、日々の業務で手一杯で、「ウォール・ストリート・ジャーナルのようにはできない」という場合もあるかもしれません。
そんなときには、ホワイトペーパーの制作代行を依頼するという選択肢があります。
弊社シャベルでは、企画から運用までフルサポートするホワイトペーパー制作代行のサービスをご提供しています。お気軽にご相談ください。
本記事では「ホワイトペーパーの作り方」をテーマに解説しました。要点を簡単にまとめます。
優れたホワイトペーパーを作るために必要な前知識として、以下を押さえておきましょう。
ホワイトペーパーの作り方を、以下の4つのパートに分けてご紹介しました。
ワンランク上のホワイトペーパーを作るヒントはこちらです。
顧客との新しい出会いや関係性の構築に役立つ、良質なホワイトペーパーを作るために、本記事を役立てていただければ幸いです。
さらにノウハウを知りたい方むけに「ホワイトペーパー制作完全ガイダンス」をご用意しました。