近年BtoBマーケティングの施策の一つとして、ホワイトペーパーを活用する企業が増えてきています。
その一方で、「ホワイトペーパーを作成したものの、あまりダウンロードされない」「ターゲット顧客の獲得につながらない」といった声も耳にします。
そこで本記事では、ホワイトペーパーのダウンロード率に関わる要因を説明するとともに、ダウンロード率を上げる方法について解説します。
ホワイトペーパーの作成・活用に取り組む企業のマーケティング担当者の方は、是非ご一読ください。
ホワイトペーパーとは、自社が持つデータ・ノウハウなどの専門知識、業界内の最新動向をまとめた資料のことです。
企業が持っている専門知識を最大限に活かし、解決に役立つホワイトペーパーを公開することで、自社の専門性の証明や権威性の向上に貢献します。
そして、それが顧客との信頼関係を築き、結果として、リードの獲得や商談につながっていきます。
そもそもホワイトペーパーとは何かを詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
ホワイトペーパーを活用する場合、顧客担当者の情報の入力と引き換えにホワイトペーパーをダウンロードできるようにし、リードを獲得します。具体的には以下のような施策を行います。
オウンドメディアに流入してくる顧客に対して、ホワイトペーパーのダウンロードを促す方法です。
オウンドメディアでは、自社の製品・サービスに関連のあるキーワードで記事を作成して、上位表示させられるようにします。(SEO対策)
その結果、ページ閲覧数は増えたとしても、その中で検討顧客として、サービス紹介の資料請求やお問い合わせしようと思うページ閲覧者はごくわずかです。
そのため、コンバージョンポイントのハードルを下げて、まずは少しでもリード獲得につなげるためにホワイトペーパーを使うことが有効です。
広告のコンバージョンコンテンツとして活用する方法です。広告配信では、ターゲットを顕在顧客・検討顧客に絞ることが多いですが、潜在顧客の獲得としても活用できます。
少しでも特定のテーマに関心がある人向けに、有益な情報(ホワイトペーパー)を提示する広告を配信し、その内容を読んだ顧客の信頼を高めることで、導入が必要になるタイミングで自社を選んでもらえるようにします。
外部の資料ダウンロードサイト(※)にホワイトペーパーを掲載し、ダウンロードしてもらうことでリードを獲得する方法です。
こういったサイトには、情報を求めて資料をダウンロードしようとしている顧客が集まりやすく、自社サイトでは接点を持てなかった方々にもダウンロードしてもらえる可能性が高まります。
※資料ダウンロードサイト…各社の製品・サービスの紹介資料やお役立ち情報をまとめたホワイトペーパーをダウンロードできるサイトのこと。
(例:メディアレーダー, ITトレンド, Boxil SaaS等)
ホワイトペーパーのダウンロード率が伸びない時に見直すべきポイントとして、以下の2つが挙げられます。
ホワイトペーパーをダウンロードするメリットがそのタイトルや表紙、またはダウンロードページなどから想像できなければダウンロード率は伸びないでしょう。
資料を読むことで、「どのような情報やノウハウが得られるのか」「どういった課題解決につながるのか」などダウンロードすることで得られるメリットをホワイトペーパーの表紙やダウンロードページで訴求する必要があります。
また、他社で類似のコンテンツが存在する場合、自社のコンテンツはそれらとどういった点で異なるのか、より有益な情報が得られる、ということも訴求しましょう。
一方、いくら表紙やダウンロードページで興味を持ち、ダウンロードしてもらったとしても、顧客の期待と実際のホワイトペーパー内容の質が伴っていなければ、「この程度の情報か」と失望されてしまいます。
そのため、ホワイトペーパーで、顧客にとって価値ある情報や、抱えている悩みを解決する情報を提供することを意識してホワイトペーパーの中身を充実させることが大切です。
ホワイトペーパーを作成後、自社サイトの記事コンテンツにCTA(Call To Action:行動喚起)として設置したり、広告での配信を行ないターゲット顧客に届ける取り組みをしていきます。この時、各配信チャネルでの適切なターゲティングがダウンロード率に大きく影響します。
例えば、自社サイトの記事コンテンツに、「とにかく色んな記事に資料ダウンロードの導線を設置」したとしても、関連性の低い記事からのダウンロード率は期待できないでしょう。
また、他社メディアに掲載する場合、そのメディアのユーザー属性が想定ターゲットとズレていれば、ダウンロード率は伸びません。
このように、想定しているターゲットに届けるためには、ターゲットが頻繁に目にしているチャネルを選定し、適切なターゲティングを行う必要があります。
【ホワイトペーパーを配布できるチャネルの選択肢】
種類 | 例 |
---|---|
(1) 自社サイト | ・記事コンテンツ ・ランディングページ ・お役立ち資料一覧ページ ・プレスリリース |
(2) 個別配布 | ・商談 ・メール |
(3) Web広告 | ・リスティング広告 ・各種ディスプレイ広告 ・リターゲティング広告 ・SNS広告 |
(4) 比較コンテンツ提供サイト | ・メディアレーダー ・LISKUL(リスクル) |
(5) ビジネス系メディア | ・日経ビジネス ・東洋経済 |
ダウンロード率を上げるために、ホワイトペーパーの作成時・活用時に意識するポイントを解説します。
まずは作成時に意識すべきポイントを2つ紹介します。
ホワイトペーパー施策において、ターゲットを明確に定義し、それに基づいたホワイトペーパーの内容にすることがダウンロード率を向上させるために不可欠です。
前述の「ホワイトペーパーのダウンロード率が上がらない要因」でもお伝えした通り、ダウンロード率を上げるには、「顧客にダウンロードするメリットを訴求すること」「配信するチャネルで適切なターゲティングを行なうこと」が重要です。
そのために、まず、自社のどんなマーケティング課題を解決するのか(制作する目的)、どのターゲット(想定読者)に配信するのかが明確になっていなければ、適切な訴求・ターゲティングができません。
例えば、マーケティング課題の例として、下記のような内容が挙げられます。
【マーケティング課題の例】
また、ホワイトペーパーのターゲットはできるだけ詳細に描く必要があります。
市場調査や、実在する自社の顧客に共通する特徴、社内に蓄積された経験知など、ファクト(事実)を根拠としながら、練り上げていきましょう。
【顧客像の観点】
目的やターゲットの決め方については、「ホワイトペーパーの作り方【Part 1】企画・テーマを策定する」でも詳しく解説しています。
ホワイトペーパーのタイトルと表紙は、第一印象に大きく影響します。興味を引くタイトルと、それに基づいた表紙デザインが重要です。
表紙に掲載すべき要素は以下の4つです。
今回はこの中でも特に重要といえるタイトルに絞って要点を説明します。
メインタイトル・サブタイトル
タイトルを付ける時に意識したいのは「アイキャッチ力がある」「自分向けだとわかる」「読むと何を得られるか明確になっている」の3つのポイントです。
1アイキャッチ力がある
アイキャッチ力があるタイトルとは、「そのタイトルを見かけた瞬間、視線が他に流れることなく、そのタイトル上で目が留まる」とイメージしてください。
アイキャッチ力のあるタイトルは、多くの顧客の興味関心を刺激し、ダウンロードを促進する動機づけとなります。
2 自分向けだとわかる
ホワイトペーパーのタイトルは、アイキャッチ力だけでは不十分です。
なぜなら、ホワイトペーパーは趣味・娯楽の分野ではなく、ビジネス分野のコンテンツであるため、顧客のビジネスと関連性があることも、同時に伝える必要があるからです。
タイトルで心をつかまれたとしても、自分のビジネスとの関連性を見いだせなければ、ダウンロードには至らないでしょう。
3読むと何を得られるか明確になっている
前提として、ホワイトペーパーの読者は「タイムパフォーマンス」にシビアである という事実を、念頭におきましょう。
ホワイトペーパーは、プライベートの時間ではなく業務時間を割いて読まれるため、利益にならないことには、時間を割く気になりません。
そのため「このホワイトペーパーを読むと、何が得られるのか?(何を達成できるのか?)」を盛り込むようにしましょう。
もっと詳しくタイトルの付け方について、知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
また、表紙の作り方については以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
ホワイトペーパーをダウンロードするページ(ランディングページ)の情報量や操作性の良さはホワイトペーパーのダウンロード率に直結します。
ホワイトペーパーのダウンロードページでは、掲載できる情報が限られています。タイトルやホワイトペーパーの概要など必ず記載すべき内容の他に、ホワイトペーパーの一部を公開して興味を持たせるといった工夫が必要です。
【ダウンロードページに掲載できる情報】
効果的なダウンロードページにするためには顧客情報を入力するフォームの項目数をなるべく減らすことも重要です。
株式会社WACULの調査によると、「フォームの入力項目数とフォーム通過率には負の相関がある」ということが示されました。
つまり、フォームの項目数が多くなるほど、フォームの通過率が低くなり、ダウンロード率も下がるということです。
一方で、フォームの項目数を減らしすぎてしまうと、リードの選定がしづらくなります。社内の営業リソースが足りない場合、すべてのリードにアプローチできないこともあるので、なるべく情報を取得し、より確度の高いリードに注力する方が良いケースもあります。
そのため、リードの獲得を最優先事項とするのであれば、自社にとって必要最低限の情報だけでダウンロードできるように項目数を調整し、リードの選定も行いたいのであれば、項目を減らしすぎないようにしましょう。
また、フォームの操作性が悪く、入力しづらいと、顧客は途中で入力を止める可能性が高くなります。フォームの操作性を上げるために見直したいポイントとして、以下が挙げられます。
必須項目が入力されていなかったり、項目に合った入力内容になっていない場合に、エラーを表示するフォームが一般的です。しかし、どこが間違っているのかがわかりづらいエラーだと、ユーザーの混乱を招いてしまいます。
エラーを表示する場合は、具体的にどこが間違っているのかを判断できるようにしましょう。
手入力を必要とする項目の中には、選択式に変更可能なものがあります。例えば、従業員数、職種、役職、業界などです。選択肢を設けることで、顧客の入力負担を軽減するとともに、入力ミスも減らすことができます。
電話番号の入力時に、ハイフンの有無も工夫の余地があります。例えば、ハイフンは自動で挿入させるようにしたり、ハイフンなしでも受け付けるようにすることで、入力の手間を減らし、エラーの発生を防げます。
会社の所在地など、住所を入力させるケースは多いと思いますが、郵便番号から住所を自動で入力できる機能があると、顧客の入力の手間を大幅に削減し、利便性を向上させられます。
本記事では「ホワイトペーパーのダウンロード率」をテーマに解説しました。要点を簡単にまとめます。
ホワイトペーパーのダウンロード率が上がらない要因は以下の2つが挙げられます。
上記の要因を踏まえて、ホワイトペーパーのダウンロード率を上げるために意識すべきポイントは以下の3つです。
本記事を参考にしながら、ホワイトペーパーのダウンロード率の改善を行なってみてください。
さらにノウハウを知りたい方むけに「ホワイトペーパー制作完全ガイダンス」をご用意しました。