ウェビナーはコロナ禍以降、大きな注目を集めており、リモートワークの普及に伴って導入企業が増えています。本記事ではウェビナーについての基本知識をはじめ、主な配信形式、メリットとデメリットなどをまとめて紹介します。
さらに記事後半では、ウェビナー配信に役立つおすすめツールや、ウェビナーに失敗しないために知っておきたいポイントも解説します。ウェビナーの導入を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
ウェビナー(Webinar)はウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を掛け合わせた造語で、オンライン上で実施されるセミナー全般を意味します。ウェビナーを導入する企業の用途としては以下のような例があります。
ウェビナーが人気を集め始めた背景には、新型コロナウイルスの感染拡大があります。2020年、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、社会生活は一変しました。
感染拡大防止の観点から、密閉・密集・密接した通称「三密」空間での行動は自粛が要請され、多くのイベントが中止に追い込まれました。コロナ禍以降、従来の外回り営業やイベント開催が行いづらいため集客に悩む企業は少なくありませんでした。
先の見えない社会情勢と変わり続ける生活様式のなか、完全非対面で実施可能なウェビナーはウィズコロナ時代の新たな手法として注目を浴び始めました。
非対面性のみならず、従来のオフライン型イベントと比べて低予算で運用できる、参加人数の制限なく日程も柔軟に設定できるなどのメリットがあります。
ウェビナーとよく似た用語にWeb会議があります。ウェビナーとWeb会議はどちらもオンライン上で実施されますが、それぞれ用途が異なります。
ウェビナーでは登壇者から参加者へ一方的に話をすることが一般的です。参加者は不特定多数の場合もあり、基本的に顔出しはしません。参加者から発言者や運営側へ質問がある場合は、チャット機能やアンケート機能を使ってコミュニケーションをとります。
一方、Web会議では基本的にメンバー全員が顔出しで参加し、全員が発言権を持っています。参加者全員が双方向にコミュニケーションを取る点が、ウェビナーと大きく違うポイントです。
ウェビナーとWeb会議の特徴や用途については、簡単に下の表にまとめましたので、ご参照ください。
特徴 | 主な用途 | |
---|---|---|
ウェビナー | 登壇者のみが発言する参加者は顔を出さないチャットやアンケートを使ってコミュニケーションを取る | 会社説明会オンラインセミナーオンライン展示会各種研修会 |
Web会議 | 参加者全員が顔を出し、発言できる口頭の会話でコミュニケーションを取る | 商談面接打ち合わせ |
ウェビナーの配信形式は、次の2種類に分かれます。
ここではそれぞれの配信形式の概要とメリット・デメリットを紹介します。
決められた日時にウェビナーを生放送する手法です。リアルタイム配信ではチャットやアンケートで参加者の反応を確認できるため、参加者の理解度を見ながらウェビナーの方向性をその場で修正できるのがメリットです。
ただし、通信環境に不備があるとタイムラグが生じたりするリスクがあります。リアルタイム配信を実施する際は、利用するウェビナーツールの推奨環境をあらかじめ整えておきます。
事前に録画した動画を配信する手法です。録画配信では参加者が好きなタイミングで動画を視聴できるため、リアルタイム配信に比べて利便性が高いのがメリットです。
また、一度録画した動画を何回も使いまわせるため、少ない工数でウェビナーを運営できます。
一方で、リアルタイム配信のようにチャットやアンケートを使ってその場で参加者とコミュニケーションを取れないのが録画配信のデメリットです。リアルタイム配信か録画配信か、ウェビナーの内容に応じて適切な配信形式を選びましょう。
ウェビナーを成功させるためには、メリットとデメリットの両方をよく理解する必要があります。ここではウェビナーの代表的なメリットとデメリットを紹介します。
ウェビナーの主なメリットは次の二つです。
従来のオフライン型イベントを実施するためには、会場を探して予約する、当日の受付スタッフを用意するなど、さまざまなコストが発生します。
一方、ウェビナーはパソコンとインターネット環境さえあれば実施できるため、大幅なコスト削減が可能です。これまでは予算の都合からイベント実施を断念していた企業でも、ウェビナーであれば低コストで実施できます。
オフライン型イベントは開催場所や入場人数が限られているため、参加したくても参加できない人が出てしまう可能性があります。
ウェビナーはオンライン上で実施するため、好きな場所から参加可能です。また、ウェビナーツールの定員数は数百人〜数万人まで様々なので、人数制限による機会損失も防止できます。
ウェビナーの主なデメリットには次の二つが挙げられます。
ウェビナーはオンライン上で実施されます。したがって、通信環境に問題が生じると、画面がフリーズする、タイムラグが起きる、サーバーダウンによりウェビナーが中断するなど、トラブルに繋がる可能性があります。
ウェビナーを開催する際は自社のインターネット環境やサーバー環境を整えておかなければなりません。
ウェビナーは基本的に、登壇者から参加者への一方的なコミュニケーションの場です。参加者と運営側が意思疎通を図るにはチャットやアンケートのやりとりが必要になります。したがって、ウェビナーでは対面に比べて相互コミュニケーションが円滑できるとはいえません。
ウェビナーの普及に伴って、ウェビナーを実施するためのツールも数多く開発されています。ここではウェビナーに役立つおすすめツールを3つピックアップして、それぞれの特徴を紹介します。
Zoom Webinarは大手ビデオチャットサービスのZOOM社が提供するウェビナー用ツールです。ZOOMは世界中にユーザーがおり、ウェビナー初心者でも安心して利用しやすいサービスです。Zoom Webinarの主な特徴は次のとおりです。
コクリボは株式会社Innovation X Solutionsが提供する日本国産のウェビナーツールです。操作マニュアルや問い合わせサポートがすべて日本語対応しています。コクリボの主な特徴は次のとおりです。
V-CUBEセミナーは株式会社ブイキューブが提供する日本国産のウェビナーツールです。高品質な映像を安定して配信できるほか、ウェビナー運用のプロに準備から本番まで手厚くフォローしてもらえます。V-CUBEセミナーの主な特徴は次のとおりです。
上述した3種類以外にもウェビナーツールは数多く存在します。したがって、配信したいウェビナーの内容、配信頻度、集客規模などを整理したうえで、自社に合ったツールを選びましょう。
ここではウェビナーツールを選ぶうえで知っておきたい3つの選定基準を紹介します。
ウェビナーツールの料金は、月額もしくは年額でどれだけ利用しても金額が変わらない定額制と、利用した規模や回数に応じて料金が変動する従量課金制の2種類に分かれます。
頻繁にウェビナーを配信したい場合は定額制、必要に応じて不定期で配信したい場合は従量課金制といったように、自社の予算やウェビナーの配信ペースに適した料金体系のツールを選びます。
ウェビナーツールは料金プランによって収容可能人数が大幅に変動します。大規模配信を予定している場合は、収容可能人数の多いツールを選びましょう。
また、ウェビナーツールによってチャット機能やアンケート機能などの周辺機能が異なります。場合によっては不要な機能もあるため、配信予定のウェビナーに必要な機能が備わっているツールを選びます。
ウェビナーツールを導入する際は、サポート体制が充実したツールを選ぶのが良いでしょう特にウェビナー初心者の場合は疑問点や不安を持つことが多いため、すぐに正確なアドバイスをもらうためにも電話でのサポート体制があるツールを選ぶのがおすすめです。
なお、ウェビナーツールの中には海外製のツールもあります。海外製ツールの場合、サポート体制はあっても、日本語対応していない可能性があるため注意しましょう。
ウェビナーを効率的に運用するためには、いくつかのコツがあります。ここではウェビナーで失敗しないために準備しておくべきポイントを3つ紹介します。
オフラインでのセミナーに慣れている方の場合でも、オンライン開催特有のコツがありますので参考にしてください。
特にリアルタイム配信を実施する場合は、パソコントラブルに備えて予備のパソコンを常備しておきましょう。通信環境や通信機器の不備によってトラブルが発生した際、予備のパソコンがあれば迅速な対応が可能です。
ウェビナー配信前には必ずリハーサルを行い、動画の品質をチェックしましょう。リハーサル時にチェックしておきたいポイントは次のとおりです。
配信される環境が悪いとそれだけで参加者にネガティブな印象を与えてしまいます。配信に適した場所が社内にない場合は、貸し会議室や配信スタジオを利用しましょう。
ウェビナーでは参加者の顔や様子が見えません。そのため、参加者がウェビナーの内容をどの程度理解できたか、ウェビナーの品質にどの程度満足してもらえたかなどを確かめるためには、ウェビナー実施中や実施後の参加者アンケートが欠かせません。
また、参加者がスムーズに動画を視聴できるように、ウェビナー参加用URLを事前に共有しておく、開催日前日や開催の数時間前にメール等でリマインドする、といった工夫も効果的です。
本記事ではウェビナーの意味をはじめ、配信形式の違い、メリットとデメリットなどの基本知識を紹介しました。
さらに記事後半では、おすすめのウェビナーツール3選と選定基準、ウェビナーで失敗しないためのポイントについても解説しました。
実際にウェビナーを運用する場合は、開催する目的や開催頻度を考慮したうえで最も適したツールを選ぶのが重要です。
今後ウェビナーの運用を検討している企業は、本記事の内容を参考にしながら、自社にあったウェビナーの形を検討してみてください。