昨今の急激な社会環境の変革に伴い、BtoBビジネスにおいても、日々移り変わる状況を見定め、適切なマーケティングを実践することの重要性が高まっています。
そこで本記事では、BtoBマーケティングのご担当者や、BtoBマーケティングを始めるために情報収集している方などに向け、BtoBマーケティングの基本的な概要から、戦略立案などの具体的なプロセスや進め方、効果的な手法、さらには進める際の注意点まで、詳しく解説します。
BtoBマーケティングとは、BtoB(Business to Business)ビジネス、すなわち法人向けのビジネスにおいて行われるマーケティング活動全般を指します。詳しくは後述しますが、BtoBマーケティングには、BtoC(Business to Customer もしくは Business to Consumer)ビジネスにおけるマーケティング(BtoCマーケティング)とは異なる特性があります。
そもそもマーケティングとは、顧客となるターゲットのニーズを理解した上で、収益性の見込める市場(マーケット)を選定し、その市場に最適な製品やサービスを提供しながらビジネスを展開するための戦略や手法の総称です。
従って、BtoBマーケティングでは、ターゲットとなる法人の事業をしっかりと理解し、ニーズを捉えるために継続的なコミュニケーションを図りながら、そのニーズを満たすための最適な製品やサービスを把握することが重要になります。
冒頭でも触れた通り、昨今の急激な社会環境の変革に伴い、BtoBマーケティングがより重視されるようになりました。その背景には、BtoBビジネスにおける顧客意識を含めたパラダイムの変化や、DX(デジタルトランスフォーメーション)市場の拡大といった要因が存在します。
それらの要因によって、製品・サービスの多様化が大きく促進され、従来と同様のアプローチでは成果を伸ばすことが困難になったのです。ついては、効率的な新規顧客の獲得と良好な関係性の維持を実現するため、マーケティング活動にも変化と多様性が求められるようになりました。
また、インターネットが生活インフラとして定着したことにより、顧客の購買プロセスにおけるオフラインからオンラインへの移行は着実に進行し、スマートフォンの普及がそれに拍車をかけています。
今や、BtoCビジネスにおける一般消費者のみならず、BtoBビジネスにおける法人担当者もオンラインでの情報収集をメインとしており、製品・サービス購入のための情報源は「企業のWebサイト」が66.7%を占め、他の情報源を大きく上回っているという調査結果もあります。
参考:トライベック・ブランド戦略研究所 『BtoBサイト調査 2021』
https://brand.tribeck.jp/research_service/websitevalue/bb/bb2021/
そのような状況の下では、製品・サービスの情報収集から比較検討までを顧客自らが実施可能となり、自社がアプローチした際には既に購入する製品・サービスの選定が完了してしまっていることも少なくありません。
そのため、顧客が選定を終える前、すなわち購買プロセスにおけるできる限り早い段階でのアプローチが必須となり、それに伴ってBtoBマーケティングが以前にも増して注目されるようになったのです。
前述した通り、BtoBマーケティングにはBtoCマーケティングとは異なる特性があり、両者にはいくつもの違いがあります。特に大きな違いは、それぞれ「to Business」「to Customer(to Consumer)」と表現される通り、ターゲット(対象者)が法人と個人であるということです。
そのため、そもそもの顧客数はもちろん、購入に至るまでのプロセスや意思決定者、購入の目的・ゴールなども大きく異なります。従って、マーケティング活動においては、それぞれに特化した戦略を立案の上、効果的な手法を選択する必要があります。
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いをまとめると、以下のようになります。
BtoB | BtoC | |
ターゲット(対象者) | 法人 | 個人 |
顧客の数 | 少 | 多 |
取引額 | 高単価 | 低単価 |
購入の意思決定者 | 現場の担当者から社長まで、意思決定者が多い | 基本的には本人1人で、意思決定者が少ない |
購入までの検討期間 | 長 | 短 |
購入の目的・ゴール | 利益向上や業務効率化、ROIの改善など | 所有や体験、生活の課題解決など |
BtoBマーケティングにおいて大切なのは、ターゲットとなる顧客を理解した上で、良好な関係性の構築・維持を実現することです。
そのためには、基本的なプロセスや効果的な進め方を理解し、それに沿ったマーケティング活動を実践する必要があります。以下より、BtoBマーケティングのプロセスや進め方について、順に解説します。
BtoBマーケティングにおいては、自社の製品・サービスの特徴を理解した上で、それに沿った市場調査・分析を行い、顧客を理解することが最初のステップとなります。
まずは顧客がどんな課題や悩みを抱えているのか、どういったゴールを求めているのか、そのような顧客はどれくらいの数いるのか、といった点を正確に把握します。
それに対して自社の製品・サービスがどのような解決策やメリットを提供できるのかを明確にします。顧客理解が十分にできていないと、例えば以下のような問題が発生し、効果的なマーケティング活動が実現せず、あらゆる施策の成果を最大化できない可能性が高くなります。
また、顧客の課題や悩み、求めているゴールなどは、短期間で正確に把握することは困難なケースがあるほか、社会状況やビジネス環境によって、大きく変容する可能性もあります。そのため、市場調査・分析は一度の実施で満足せず、マーケティング活動の効果を見ながら折に触れ反復し、顧客理解に対するブラッシュアップを継続することが重要です。
顧客のニーズを把握したら、次に競合分析を行います。
競合する企業の製品・サービスに関する情報を集め、自社と競合におけるそれぞれの強みや弱み、自社が差別化できる要素を決めていきます。集める情報としては以下が挙げられます。
また、競合には、自社と同じ製品・サービスを提供している「直接競合」と、製品・サービスは異なるもののターゲット顧客が同じである「間接競合」も存在します。
競合分析をする際は、この間接競合の調査の視点でも分析をして、対策を考えるようにしましょう。
分析により顧客や競合を理解した上で、次に戦略立案のプロセスに移ります。
戦略立案にあたっては、まず目標を設定することが重要です。目標設定においては、自社の最終目標であるKGI(Key Goal Indicator、重要目標達成指標)、および最終目標を達成するための中間目標であるKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)の各指標を洗い出すことをおすすめします。
KGIには受注数や受注金額、KPIには各マーケティング施策の実践により生み出された問い合わせ数や問い合わせ率、それらの費用対効果などを設定するケースが一般的ですが、自社の置かれている環境や事業フェーズ、製品・サービスの特性などによって変わってくることがあります。
KGI・KPIを定めたら、その次にチャネル・手法を決めていきます。競合と比較した時に際立つ、自社の製品・サービスにおける特徴を、どの顧客層に売り込むかを言語化して、チャネル(顧客接点)を決めます。
この時、ターゲット顧客に届かないチャネルを選んでしまうと、製品・サービスの購入にはつながらないので、適切なチャネルを選択することが大切です。
また、ペルソナ(典型的な顧客像)に合わせて、接触するタイミングや契約までのシナリオなどをカスタマージャーニーとして落とし込むことも必要です。
戦略立案のプロセスにおける具体的なタスクをまとめると以下の通りです。
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ここからはいよいよ、戦略立案で決定したマーケティング施策を顧客の購買フェーズ(「認知」「検討機会」「コンバージョン(購入)」といった顧客の意識や立ち位置の変化)に合わせて実践するステップとなります。まずは見込み顧客(リード)を創出するリードジェネレーションのプロセスです。
リードジェネレーションとは、リードを創出(獲得)すること、もしくはそのために実践する手法や施策を指します。
リードジェネレーションでは、Web広告の出稿、自社サイトやオウンドメディアの運用、SNSの活用、プレスリリースの配信といった様々な手法により顧客の興味喚起を促し、問い合わせや見積もり依頼など様々なアクションを発生させることで、リードを創出します。
また、BtoBマーケティングにおけるリードジェネレーションでは、製品・サービスの購入を決裁する役職者や経営層などのリードを多く創出することが、KGIの達成に向けた成果を左右するカギとなります。
なお、リードジェネレーションにおける様々な手法については、次章で詳しく紹介します。
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リードナーチャリングは、リードジェネレーションによって創出されたリードに対し、自社の製品やサービスの購買意欲を高め、購入に至るまで育成することです。
具体的な手法として、メールマガジンの配信やインサイドセールスの実施、MA(マーケティングオートメーション)ツールの導入、セミナーやイベントの開催などが挙げられます。これらを含めたリードナーチャリングにおける様々な手法については、次章で詳しく紹介します。
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いにもあった通り、一般的にBtoBマーケティングにおいては顧客による購入までの検討期間が長くなる上、複数の意思決定者が介在するため、その間に行われるリードナーチャリングの重要性が非常に高くなります。
それぞれのリードがどの購買フェーズにいるのかをしっかりと把握した上で、最適なコミュニケーションによるリードナーチャリングを実践することが大切です。
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リードクオリフィケーションとは、自社が抱えているリードの中から、購入に至る可能性が高いリード(ホットリード)を選別することです。
そのためにはまず、自社製品・サービスに対する各リードの購買意欲や検討状況を明確にする必要があります。その際、問い合わせや見積もり依頼といったリードのアクションに点数を付加し、購買意欲や検討状況を数値化するリードスコアリングという手法が多く用いられます。
リードスコアリングによって付加された点数の合計が、設定した数値を超えている場合に購入の可能性が高いものと判断し、ホットリードとして選別するという流れです。
リードクオリフィケーションによって選別されたホットリードに対し、優先的にマーケティング活動やセールス活動を実施し、購入の後押しをすることで、効率的に成果を上げることが可能となります。
リードクオリフィケーションによるホットリードの選別と、それに対する施策の実践などにより、無事製品やサービスの受注に至ったとしても、マーケティング活動はそれで終わりではありません。
成果をより高めるためには、継続して製品やサービスを利用してもらいながら、アップセル(顧客単価を向上させる取り組み)やクロスセル(別の製品・サービスの購入を促す取り組み)を仕掛けていく必要があります。
そのため、製品やサービスによっては、一定期間における継続率(あるいは解約率)や既存顧客の売上増加率などを、KPIとして設定するのも有効です。
LTVとは、顧客一社が取引開始から終了までの期間にどれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標ですが、その金額を高めていくことがビジネスの発展につながっていきます。
例として、どのような顧客であればLTVや投資対効果が高くなる傾向があるのか見極めて、ターゲティング(顧客対象の絞り込み)に活かしたり、解約理由を分析し、製品・サービスを改善することで、解約率の良化にもつながるでしょう。
以下より、BtoBマーケティングにおける具体的な手法について、顧客創出(リードジェネレーション)フェーズでの手法と、顧客育成(リードナーチャリング)フェーズでの手法に分類した上で、解説します。自社の製品やサービスの特性、マーケティング戦略などを考慮しながら、効果的な手法を選択する必要があります。
顧客創出(リードジェネレーション)フェーズにおけるBtoBマーケティング手法には、オンラインとオフラインで異なる手法が存在するほか、リード獲得率・コスト・ターゲティング(ユーザーの属性や行動履歴などを基にターゲットを絞ること)のそれぞれにおいても違いがあります。
次項より、それぞれの手法について解説します。
Web広告を利用し、自社の問い合わせフォームや見積もり依頼ページなどに誘導することで、リード獲得を目指すオンライン手法です。適切に活用すれば、即効性と高い費用対効果が期待できます。また、Google・Yahooのリスティング広告、Facebook・Twitter・InstagramのSNS広告など、多くの媒体から選択が可能な上、ターゲティングなどの細かい設定ができることも特徴です。
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自社で運営しているオウンドメディアを活用し、顧客が魅力を感じる良質なコンテンツを公開することで、問い合わせなどのリード獲得につなげるオンライン手法です。
既に多くのアクセスを集めているオウンドメディアであれば、早期に成果を上げることも期待できますが、アクセスが少ない場合はSEO対策の実施と継続が不可欠となり、効果が出るまでに相応の時間がかかる可能性があります。
Web広告の項で触れたSNS広告とは別に、Facebook・Twitter・InstagramなどのSNSにおける自社の企業アカウントを利用し、リード獲得につながる投稿を行うオンライン手法です。特にBtoBマーケティングの場合、自社のターゲット層が当該SNSを利用しているかを調査する必要がありますが、表現などに工夫を施すことでSNSの特性である爆発的な拡散が発生し、わずかなコストで大きな成果につながることも期待できます。
ホワイトペーパーを自社サイトに設置し、ダウンロードする際に顧客情報の入力を促すオンライン手法です。BtoBマーケティングにおいて質の高いリードを獲得するための手法として、様々な企業で多く活用されています。
一般的にホワイトペーパーは単なる営業資料ではなく、課題に対する解決策などの具体的なベネフィットを提供する詳細な内容となります。そのため、提示の方法によって一定のターゲティングが可能な上、自社の製品・サービスのみならず、当該分野や関連するテーマに興味・関心を持った幅広い顧客層が求める傾向があり、リード獲得率が高くなります。
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自社の製品・サービスに関する情報や、関連する活動などをプレスリリースで配信し、認知拡大とリード獲得を見込むオンライン手法です。プレスリリース配信サービスを活用し、著名なメディアに取り上げられたり、多数のメディアに掲載されたりすれば、多くの成果が実現する可能性があります。
とはいえ、あらゆる企業から多くのプレスリリースが配信されている中、メディア記者の関心を惹けなければ掲載は叶わないため、タイトルや文面の作成には一定のライティングスキルが必要となります。
他社メディアに広告費を支払い、記事を掲載することで、リード獲得を目指すオンライン手法です。広告費用は必要となりますが、メディアが有する読者層が自社のターゲットに合致すれば、大きな成果が期待できます。そのためには、自社の製品・サービスやマーケティング戦略に沿って、慎重にメディアを選定する必要があります。
テレアポ(テレフォンアポイントメント)は、電話を利用してリード獲得を目指すオフライン手法です。大きな手間をかけずにターゲットと直接会話できることが特徴で、課題や悩みなどを詳細にヒアリングしながら、具体的な解決策を提示し、リード獲得につなげることが可能です。
従来より利用されてきた看板や、新聞・雑誌・テレビといったマスメディアに広告を出稿するオフライン手法です。普段Webサイトなどのオンラインに馴染みのない層にもアプローチできるのが特徴ですが、概ね高コストな上、不特定多数が対象となるためターゲティングができない、効果測定が難しい、などのデメリットもあります。
交通広告は、電車の中吊り広告を始め、バスやタクシー、駅構内など、交通機関や関連箇所に広告を掲載し、それを見たターゲットからの接触を待つというオフライン手法です。前項の看板・新聞・雑誌・テレビ広告と同様、概ね高コストな上、ターゲティングや効果測定が難しいというデメリットがあります。特にBtoBマーケティングにおいては、直接的な多くのリード獲得を期待するものではなく、認知拡大やブランディングといった間接効果を狙って採用される手法と言えます。
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自社の製品・サービスの認知拡大やリード獲得を狙い、特定のテーマに沿って開催される展示会に出展するオフライン手法です。ターゲットとリアルで濃密なコミュニケーションが可能となるため、Webを活用したオンラインイベントが全盛の昨今においても、重要なマーケティング手法として活用されています。
来場者は展示会のテーマに興味・関心があると考えられるため、一定のターゲティングが既に実現されていること、直接のコミュニケーションによる効果的なアプローチを実践できれば、良質なリードが多数獲得できる可能性があること、などが大きな特徴です。
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その他のリード獲得施策の一覧を知りたい方は、以下の記事にて詳しく解説しています。
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顧客育成(リードナーチャリング)フェーズにおけるBtoBマーケティング手法も、顧客創出(リードジェネレーション)のフェーズにおける手法と同様に様々なものがあり、リード獲得率・コスト・ターゲティングのそれぞれに違いがあります。
次項より、それぞれの手法について解説します。
メールマガジンは、自社の製品・サービスやキャンペーン情報、活用事例、イベントの告知など、様々な内容を掲載したメールを定期的に配信するものです。既存のリードに対してメールマガジンを配信すれば、継続的な情報共有とコミュニケーションが図れるほか、購買フェーズによって内容をカスタマイズするなどの工夫により、効果的なリードナーチャリングを実現することも可能となります。
ウェビナーと呼ばれることも多いWebセミナーは、昨今の社会環境の変化とも相まって、多くの企業が盛んに開催するようになりました。BtoBビジネスにおいては、自社の事業や製品・サービスが多様で複雑な場合も多いため、リードに向けたWebセミナーによってそれらを丁寧に説明する機会を設けることは、自社に対する理解を促進し、効果的なナーチャリングにつながる可能性があります。
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Web広告における手法の一つであるリターゲティング広告は、自社サイトやオウンドメディアを訪問してくれたターゲットに対して、自社の製品やサービスに関する広告を配信するものです。
不特定多数に広く広告を配信するよりも、自社に興味・関心があると思われるターゲットにピンポイントで情報を届けることで、成果につながる可能性を高めます。また、一般に購入までの検討期間が長くなるBtoBビジネスにおいては、リターゲティング広告によって自社の製品・サービスを繰り返し想起させ、印象付けることが、購買フェーズを進行させる有効な手段となります。
MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動全般において自動化・効率化を図る一連のプロセスを指します。
それを実現するためのMAツールは、あらゆるマーケティング活動における効率を高め、マーケティング担当者の負荷を軽減するものです。MAツールを活用すれば、メール配信など他のマーケティング手法に対する統合的な管理のほか、前述したリードクオリフィケーションなどの運用も容易に実現可能となり、リードに対する効率的なナーチャリングを実施できます。
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インサイドセールスとは、内勤営業と呼ばれることもあり、電話やWeb会議などを活用したコミュニケーションによってセールス活動を行うことです。
直接訪問を伴うフィールドセールスに対し、より効率的に成果を上げる手法として従来から注目されてきましたが、コロナ禍に端を発する社会環境の変化によって、さらにその傾向が加速しました。
リードナーチャリングのフェーズで実施されるインサイドセールスでは、リードとの直接的な会話によって、具体的な課題のヒアリングやそれに対する解決策の提示が可能なため、効率的に購入までの後押しが実現できます。
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リードナーチャリングのフェーズで開催するセミナーや自社イベントは、リードにおける自社へのエンゲージメント(愛着心や思い入れ)を高め、購買フェーズの進行を促すのに効果的です。
ただ、開催テーマやその内容は、リードにベネフィットをもたらし、自社との取引に伴う明るい未来を想像させるようなものでなければ高い効果は望めません。また、前述した自社Webセミナーと同様、多様で複雑な自社の製品・サービスを丁寧に説明する機会として利用することも有効です。
ここまで様々なBtoBマーケティングの手法を紹介してきましたが、それらを活用しながら実際にBtoBマーケティングを進める際には、事前に認識しておくべき注意点があります。以下より、それを解説します。
BtoBマーケティングを進めるにあたっては、市場調査・分析により顧客を理解した上で実施する、戦略立案のプロセスが非常に重要になります。
BtoBマーケティングにおける戦略は、自社のマーケティングが進むべき方向性を示すものであり、マーケティングプロセス全般に渡って施策を行う上での拠り所となるものです。戦略がない、あるいは中途半端な状態では、目的地も方角も分からないまま大海原を航行するようなもので、どんなに優れた施策であっても、満足のいく成果につなげることは困難と言えます。
戦略立案を実施せずにマーケティング施策を実行してしまう理由には、例えば以下のようなものがあります。
このような理由から、明確な戦略立案のないまま施策を実行し、BtoBマーケティングを進めても、顧客との適切なコミュニケーションが図れないばかりか、コストの無駄使いとなる可能性が高くなるため、注意が必要です。
BtoBマーケティングは、マーケティング部門だけが意識し、全責任を負いながら遂行するというものではなく、自社のビジネスにおける成否を左右する重要な企業活動であり、全社的な取り組みとして進めるべきものです。そのため、営業部やカスタマーサクセスチームを始め、他部門との密なコミュニケーションによるスムーズな連携や情報共有が必須となります。
その際、MAツールを活用することも大いに効果的です。MAツールには他部門も活用しているSFA(Sales Force Automation、営業支援システム)やCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)との連携や、担当者への通知・アサインの自動化が、機能として組み込まれていることが多いからです。
ただ、他部門とのスムーズな連携や情報共有のためには、事前の調整や合意形成はもちろん、KGIを共有した上で、部門ごとのKPIを設定することも必要です。そうすることで、他部門においてもBtoBマーケティングを推進することへの理解が促進され、全社的な取り組みとしての意識を醸成することが可能になります。
以上、BtoBマーケティングの基本的な概要から、戦略立案などの具体的なプロセスや進め方、効果的な手法、さらには進める際の注意点まで、解説しました。
前述した通り、BtoBマーケティングは、自社のビジネスにおける成否を左右する重要な企業活動であり、全社的な取り組みとして進めるべきものです。本記事を参考に、他部門の理解と協力を得ながら効果的なBtoBマーケティングを実践し、ぜひビジネスの発展に寄与してください。