ブランディングとは?意味や目的、メリットについて徹底解説

ブランディングは企業がビジネスを展開するうえで非常に重要な考え方です。しかし、その意味や重要性を他者に説明できるほど正しく理解できているビジネスパーソンは多くありません。

本記事ではブランディングという考え方について、基本的な意味や目的、ブランディングを進めるメリットと注意点、実践する際の注意点などについて幅広く解説します。ブランディングについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

ブランディングとは?

ブランディングとは何かを説明すると、「理想のイメージを持ってもらうこと」といえます。自社の商品やサービスに対して、顧客が信頼や共感を得るようなイメージを作り出し、選んでもらうための活動がブランディングです。

例えば、あなたが今コーヒーを飲みたいと思っているとします。もしもあなたが、手軽にいますぐコーヒーを飲みたいと考えている場合、真っ先に頭に思い浮かぶのは自動販売機の缶コーヒーやコンビニのコーヒーマシンではないでしょうか。

そして、コンビニに寄ってコーヒーを買おうと考えた時に、セブンイレブンのコーヒーは美味しくて売れているといったことを思い出して、「セブンカフェ」を利用することにしました。

このように「〇〇と言えばコレ」というイメージをターゲットに持ってもらうのが、ブランディングの成果です。

各コンビニで、「コーヒー」という同じ商品を提供しています。しかし、コーヒーの味や製造方法、価格帯、宣伝方法などが異なるため、それぞれが消費者に異なるイメージを与えているのです。

このように自社独自のイメージを消費者に印象づけることで、他社と差別化を図ろうとする試みをブランディングと呼びます。

コーヒーはBtoC商品ですが、近年ではBtoBビジネス業界においても、「企業から企業」ではなく「企業から担当者(個人)」という認識が強まっており、これまで以上にブランディングの重要性は広く認知されてきています。

例えばクラウドサービス等でも「〇〇の課題を解決するなら△△社のサービス」とターゲットである担当者に意識づけたい企業も多く、テレビCM等で見かける機会も多くなりました。

実際にブランディングを行う目的やメリット、注意点については引き続きこの記事で詳しく解説しますので参考にしてください。

https://forb-marketing.com/?p=113

ブランディングを行う目的例

近年ではブランディングに力を入れる企業が増えています。

認知度・信頼度の向上

ブランディングは自社の経営方針や企業理念、サービス価値などを社内外に広くアピールするうえで効果的な施策です。世間に広く認知されれば、自社サービスを手に取ってくれる顧客や取引先、自社で働く社員たちから共感や信頼を得やすくなります。

ブランディングによって世間からの認知度が高まり、かつ自社への信頼性が強まれば、新規顧客や契約を獲得しやすくなります。

利益率の向上

ブランディング強化はビジネスの利益率向上にも大きな効果をもたらします。

ブランディングによって競合他社のサービスと差別化できれば、顧客から選ばれやすくなり、不必要な集客や販促コストを抑えて、マーケティングプロセス全般において優位性を保てるからです。

特に、近年では価格競争が激しくなっています。自社そのものやサービスのファンになってもらえれば、類似の競合他社サービスが多数あるなかでも、低価格競争に応戦する必要がなくなります。

ブランディングとマーケティングの違い

ブランディングとよく混同されるビジネス用語として、マーケティングが挙げられます。どちらも横文字であるため、曖昧な理解にとどまっているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。一見よく似ているこれらの用語ですが、実はそれぞれ意味する事柄が異なります。

マーケティングとは自社の製品やサービスを作り出し、それらを売るまでの一連のプロセスや仕組みを指します。

具体的には、市場の流行やニーズを分析する、顧客のターゲット層を決める、新しい製品やサービスを作り出す、製造プロセスを整備する、価格を設定する、集客や販路拡大のための広報活動を行うなど、様々なプロセスが存在します。

一方でブランディングは、自社の製品やサービスに対する顧客のイメージを高めることで、他社の類似サービスと差別化を図り、自社の競合優位性を高めるための活動です。

つまり、マーケティングという包括的な取り組みの一部として、ブランディングという考え方が位置づけられます。

ブランディングを行うメリット

ブランディングを強化することは、企業にとって様々なメリットをもたらします。ここではブランディングを行うメリットを3つピックアップして紹介します。

収益率の向上

ブランディングによって自社商材を他社商材と差別化できれば、自社の市場競争力が高まります。

「〜〜といえば○○社のあのサービス」というイメージが見込み顧客の間で確立すれば、新規顧客を獲得しやすくなるほか、リピート率の向上にも繋がります。

自社ブランドへの信頼や愛着が高まり、消費者から選ばれやすくなれば、無理に低価格で販売しなくても安定的に収益が出るようになります。その結果、事業の収益性が向上するのがブランディング活動の大きなメリットです。

自社価値の向上

BtoB市場では、常に新しい製品やサービスが作られ続けています。もしも競合他社が自社サービスに類似した新規サービスを作り、自社よりも低価格でサービスを提供し始めた場合、自社サービスは特有の価値を持たない限りいずれ淘汰されてしまいます。

ブランディングによってユーザーに自社固有の強みやイメージを印象付けられていれば、類似する製品やサービスが新たに登場しても、選ばれやすい状況を作り出せます。

採用面にもプラス

日本国内の採用市場においては、知名度の高い会社への就職を目指す求職者が多いのが特徴です。したがって、ブランディング活動によって世間一般からの知名度を獲得することは、人材確保にも大きな効果をもたらします。

新卒採用のみならず、業界経験者をターゲットとした中途採用市場においても、会社のブランド力は人材にとって大きな魅力です。ブランドが確立している会社であれば、スキルの高い人材をスカウトしやすくなります。

ブランディングを行う注意点

ブランディングを進めることには多くのメリットがありますが、同時に注意点があることも事実です。ここではブランディングを行ううえで知っておきたい注意点を3つ紹介します。

ブランドが確立するまで長期戦になる

ブランディングは一朝一夕で効果が出る施策ではありません。自社が確立したいブランドイメージが定着するまでには、数年以上の長い時間を要します。さらに、ブランディングを徹底するには広告費や研究・開発費、そのほか様々なコストが必要です。

自社のブランディングを確立したいのであれば、余裕を持った期間設定とコストが必要です。

強豪ブランドが存在する業界では効果を出すのが難しい

すでに競合他社が同じ業界内でブランディングを確立している場合、後発の企業がそのブランドイメージに取って変わるのはなかなか困難です。

したがって、すでに業界内に競合ブランドが存在する場合は同じポジションでの争いを避けつつ、既存ブランドから少しずらしたポジションやまだ誰も目をつけていないポジションを狙う必要があります。

ブランディングの主な種類

ブランディングは、「誰が」「誰に対して」「何を」ブランディングするのかによって2種類に大別できます。ここではブランディングをアウターブランディングとインナーブランディングの二つに分けて、それぞれの特徴を説明します。

アウターブランディング

消費者や顧客、取引先など会社の外に向けてブランディングの浸透を図る施策は、アウターブランディングと呼ばれます。具体的には、CMなどの宣伝活動や広報活動などの施策がこのアウターブランディングに当たります。

アウターブランディングは売上や収益性の向上に直結しやすいのが大きな特徴です。一般的にブランディングという用語が用いられる場合、アウターブランディングを意味しているケースが多いといえます。

インナーブランディング

アウターブランディングに対して、会社の内側、すなわち社員向けに会社のブランディングを浸透させる施策がインナーブランディングです。

会社の経営方針や企業理念を深く理解し、会社が目指すべきブランドイメージを体現できる社員の存在は、ブランディングの成功に欠かせません。インナーブランディングとアウターブランディングは、両輪のように相互補完的な関係にあるといえます。

ブランディングを行う際のポイント

ブランディングの基礎知識やメリット・注意点について理解を深めたうえで、実際にブランディングを行う際のポイントを押さえておきましょう。

誰に何を伝えたいかを明確に

ブランディングを行う際は、どのようなターゲットに対して、どのようなメッセージを伝えるのかが重要です。

例えば、自社サービスの信頼性や権威性を訴求したい場合は「今年リリースした新規サービス」といった文言よりも「〇〇賞3年連続受賞」「創業100年以上の業界パイオニア」といった、特徴やアピールポイントを簡潔に捉えた文言の方が適切だと考えられます。

社外もしくは社内のどのような相手に対して、自社のどのようなイメージを浸透させたいかを明確化することは、ブランディング成功の第一歩です。

ターゲット市場で自社のブランドを確立できるか

自社が新たに市場に参入する場合は、その市場で自社独自のブランドを確立できるかどうかよく判断しましょう。

例えば、自社が目指すブランドイメージと全く同じブランドイメージを既に確立している大手企業が存在している場合、自社が後からそのブランドイメージを塗り替えるのは非現実的です。

それよりも、既存企業が取りこぼしているニーズを拾えるようなブランドイメージを確立する方が、ビジネスを成長させるチャンスがあります。

新規ビジネスを興す際は、その市場で他社に真似できない自社のブランドイメージを確立できるかがポイントです。

ブレないブランドを目指すこと

一度ブランドイメージの方向性を決めたら、よほどの事情がない限り方向性をブラさないのが懸命です。たとえ短期間で成果に直結しなかったからといえ、コロコロとブランドイメージを変えてしまうと消費者の印象に残りません。

ブランディングは長い期間をかけて少しずつ世間に自社イメージを浸透させる試みです。長期的な視点に立って、ブレないブランドイメージを目指しましょう。

唯一無二であること

ブランディングを考える際は、「自社にしかできないこと」や「自社がやらなければならないこと」に注目しましょう。

既に成功している競合他社のブランディングをそのまま模倣しても、顧客や取引先からすればただの二番煎じです。

自社だからこそ生み出せる製品、自社にしか展開できないサービスを見つけることができれば、その後のブランディングを円滑に進められます。

まとめ

本記事ではブランディングについて、言葉の定義や基本知識を紹介したうえで、メリットと注意点、実際にブランディングを行う際のポイントについてまとめました。

ブランディングには消費者や取引先に向けたアウターブランディングから、社内の従業員に向けたインナーブランディングまで様々な施策があります。

自社の強みと顧客のニーズ、競合他社の特徴、市場全体の動向などを正しく理解したうえで、長期的な視点でブランドイメージを浸透させるのがブランディングの基本といえます。

ブランディングはすぐに効果を発揮して、即座に売上を向上させるようなものではありません。ですが、長期的・効果的に行えば大きな効果を発揮します。

この記事でお伝えしたポイントを、ぜひ今後のブランディング戦略に活かしていただければ幸いです。

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