Facebook広告を効率的に運用するために欠かせないのが、カスタムオーディエンスの活用です。カスタムオーディエンスを使うことで、コンバージョン確度の高いユーザーへアプローチしやすくなります。
本記事ではFacebook広告のカスタムオーディエンスの基本知識から、カスタムオーディエンスが機能する仕組み、カスタムオーディエンスの種類や設定方法、運用におけるメリットとデメリットなどを包括的に解説します。
Facebook広告の運用担当者は、ぜひ最後までご覧ください。
Facebook広告のカスタムオーディエンスは、広告配信におけるターゲット設定オプションです。カスタムオーディエンスを設定すれば、過去に自社のビジネスと何らかの関わりを持つユーザーに対して重点的に広告を配信できます。
Facebook広告の特徴として、アクティブユーザー数が多いこと、また膨大なユーザー情報をAIが解析することで広告の配信対象を細かく絞り込めることが大きな強みです。
すでに自社ビジネスを認知しているユーザーはそうでないユーザーに比べて、問い合わせや資料請求など広告主が求めるアクションを起こしやすいため、広告運用の最適化にはカスタムオーディエンスが欠かせません。
カスタムオーディエンスの種類は、次の4つに分かれます。
カスタムオーディエンスの種類ごとの特徴や設定方法については、記事後半で詳しく解説します。
Facebook広告のカスタムオーディエンスは、すでに自社と接点を持つ顧客の情報を用いて作成します。顧客との接点としては、次のような例が挙げられます。
メールアドレスや電話番号などをまとめたカスタマーリストをFacebook広告マネージャにアップロードした後、その顧客情報がFacebookに登録されているユーザー情報と照合され、同一人物だと判断されたユーザーたちがカスタムオーディエンスとしてリスト化される仕組みです。
なお、自社が保有する顧客情報をFacebook広告マネージャにアップロードする際、顧客情報はランダムなコードに変換されたうえでアップロードされます。
顧客情報が暗号化されたうえでカスタムオーディエンスを作成できるため、情報漏洩のリスクはありません。
Facebook広告のカスタムオーディエンスは、主に次の2つの目的で活用できます。
それぞれの活用方法について、詳しく解説します。
Facebook広告のカスタムオーディエンスで設定されたユーザーは、過去に問い合わせやWebサイト訪問など何らかの形で自社と接点を持った既存ユーザーです。
すでに自社のことを認知している既存ユーザーに対して広告を配信したいとき、カスタムオーディエンスは大きな効果を発揮します。
例えば、過去にWebサイトから自社商材の資料請求をしたことがあるユーザーで、なおかつまだ申し込みには至っていないユーザーを対象とした広告配信が可能です。
こうしたユーザーは競合商材と比較検討中であったり、多忙により問い合わせを失念している可能性があります。したがって、カスタムオーディエンスを設定してピンポイントで自社広告を訴求することにより、少ない広告費用で高い成果が期待されます。
また、カスタムオーディエンスでは一定条件のユーザーを配信対象から除外することも可能です。例えば、自社の認知はあるものの資料請求にまでは至っていないユーザーのみを対象としたい場合、カスタムオーディエンスでは自社Webサイトに訪問済みのユーザーの中から、既に資料請求をしたユーザーを除外して配信できます。
カスタムオーディエンスを活用すれば、簡単な設定で高精度なターゲティングを実現できるのです。
Facebook広告のカスタムオーディエンスを利用するなら、ぜひとも併せて活用したいのが類似オーディエンスです。
類似オーディエンスとは、カスタムオーディエンスに登録された既存ユーザーの属性に似ている新規ユーザーの集まりを指します。
自社とすでに接点を持つ既存ユーザーを集めたカスタムオーディエンスは、成約確度の高い配信対象であることは間違いありません。
しかしながら、既存ユーザーは数が限られているため、カスタムオーディエンスに広告を配信するだけではビジネスの成長もいずれ鈍化してしまいます。
そこで役立つのが類似オーディエンスです。類似オーディエンスは、自社のカスタムオーディエンスに登録された既存ユーザーの情報をFacebookのAIが解析し、既存ユーザーと性別や年齢、行動、属性、関心事などが似ている新規ユーザーを集めた新しいオーディエンスです。
類似オーディエンスは既存ユーザーと特徴が似ていて、なおかつ自社ビジネスとまだ接点を持っていないため、将来的に自社の顧客になる可能性が十分に高いユーザーであると言えます。
Facebook広告を運用するなら、カスタムオーディエンスと併せて類似オーディエンスも必ず活用しましょう。
Facebook広告のカスタムオーディエンスは、次の4種類に分けられます。
カスタムオーディエンスは種類によって設定方法が異なります。ここでは、4種類のカスタムオーディエンスについてそれぞれ詳しく解説します。
カスタマーリストに基づくカスタムオーディエンスは、自社がすでに顧客情報を保有しているユーザーの集まりです。具体的には、次のような識別情報をもとにカスタムオーディエンスを作成します。
カスタマーリストに基づくカスタムオーディエンスは、対象ユーザーがFacebookアカウントを所有しており、なおかつ自社がアップロードした識別情報と対象ユーザーのFacebook登録情報がひもづけが可能な場合に作成可能です。
なお、Facebook広告はセキュリティ対策として、アップロードされた顧客情報にはハッシュ処理(暗号化)を施しています。
※参照:カスタマーリストに基づくカスタムオーディエンスについて | Metaビジネスヘルプセンター
1カスタマーリストを準備して、オーディエンス画面から「カスタムオーディエンスを作成>自分のソース>カスタマーリスト」を選択する。
2準備したカスタマーリストをCSVなどでアップロードする。
3マッピング情報を確認する。
4広告マネージャ画面から「広告セット>ターゲット設定>カスタムオーディエンス」と進み、該当のオーディエンスを選択する。
5設定完了。
カスタマーリストに基づくカスタムオーディエンスの活用例としては、リードの精査が挙げられます。例えば、最終的なコンバージョンが契約で、その前段階の中間コンバージョンにWeb申し込みがある場合です。
Web申し込みしたユーザーの連絡先を使ってカスタムオーディエンスを作成し、そこから既に契約済みのユーザーを除外してFacebook広告を配信します。
これによって、Web申し込み済みで契約に至っていないユーザーを契約へと誘導できます。
エンゲージメントカスタムオーディエンスは、自社のFacebookもしくはInstagramのページ上で過去に何らかのアクションを起こしたユーザーの集まりです。具体的には、次のようなアクションを起こしたユーザーをオーディエンスとして設定できます。
アクション | アクションの詳細 |
動画 | Facebook または Instagram で動画を再生したユーザー |
リード獲得フォーム | リード獲得広告のフォームを開いたユーザー、もしくはフォームを送信したユーザー |
インスタントエクスペリエンス | Facebook や Instagram でインスタントエクスペリエンスを開いたユーザー |
ARエクスペリエンス | Facebookフィード、Instagramフィード、またはInstagramストーリーズのモバイル広告でARカメラエフェクトを開いたユーザー、あるいはいずれかのリンクをクリックしたユーザー |
ショッピング | FacebookまたはInstagramのショッピング機能で商品やカートを閲覧したユーザー、あるいは商品を購入したユーザー |
Instagramアカウント | 自社の Instagram ビジネスプロフィールでアクションしたユーザー |
イベント | Facebook 上のイベントでアクションしたユーザー |
Facebookページ | 自社の Facebook ページをフォローしているユーザー、あるいはFacebook ページでアクションしたユーザー |
※参照:エンゲージメントカスタムオーディエンスについて | Metaビジネスヘルプセンター
1オーディエンス画面から「カスタムオーディエンスを作成」に進み、「Meta Sources」の中から対象のエンゲージメントタイプを選択する。(今回は便宜上「動画」を選択)
2オーディエンスの条件を指定し、名前を付けて保存する。
3広告マネージャ画面から「広告セット>ターゲット設定>カスタムオーディエンス」と進み、該当のオーディエンスを選択する。
4設定完了。
エンゲージメントカスタムオーディエンスの活用例としては、自社のFacebookページやInstagramアカウントにいいねやフォローなどのアクションをくれたユーザーのグルーピングが挙げられます。
これらのユーザーはすでに自社のビジネスを認知・信頼している可能性が高いため、接点のない新規ユーザーよりもコンバージョンを獲得しやすくなります。
ウェブサイトカスタムオーディエンスは、過去に自社Webサイトを1回以上訪問したことのあるユーザーの集まりです。
Facebookピクセルと呼ばれる計測コードを自社Webサイトに埋め込むことで、自社Webサイトを訪問したユーザーをリスト化できます。
このオーディエンスではWebサイトに訪問したユーザーの中でも、特定のページを訪問したユーザーや特定の時間に訪問したユーザーといった条件を指定して、オーディエンスを作成することが可能です。
1オーディエンス画面から「カスタムオーディエンスを作成>自分のソース>ウェブサイト」を選択する。
2オーディエンスの条件を指定し、名前を付けて保存する。
3広告マネージャ画面から「広告セット>ターゲット設定>カスタムオーディエンス」と進み、該当のオーディエンスを選択する。
4設定完了。
ウェブサイトカスタムオーディエンスの代表的な活用事例は、過去に自社のホームページを訪問したことのあるユーザーへのリターゲティング(広告の再表示)です。
よりオーディエンスを絞り込みたい場合は、自社ホームページの問い合わせフォームを閲覧したユーザー、自社ホームページでの滞在時間が長いユーザー、のように条件を追加できます。
モバイルアプリカスタムオーディエンスは、アプリで特定のアクションを実行する可能性が高いユーザーの集まりです。
モバイルアプリカスタムオーディエンスを作成するには、宣伝したい自社アプリをあらかじめFacebook広告に登録しておき、Meta for DevelopersサイトでSDKを設定してアプリイベントを記録しておく必要があります。
このオーディエンスでは、アプリ内の特定の行動(アプリイベント)を計測可能にしておくことで条件を絞り込み、ユーザーへアクションします。
このアプリイベントは用意されているもののほか、自分でカスタマイズすることも可能で、非常に自由度の高いターゲティングが可能です。
1アプリの登録とSDKの設定を済ませたら、オーディエンス画面から「カスタムオーディエンスを作成>自分のソース>アプリアクティビティ」を選択する。
2オーディエンスの条件を指定し、名前を付けて保存する。
3広告マネージャ画面から「広告セット>ターゲット設定>カスタムオーディエンス」と進み、該当のオーディエンスを選択する。
4設定完了。
モバイルアプリカスタムオーディエンスの活用事例としては、アプリユーザーに特定の行動を促すケースが挙げられます。
例えば、過去30日間でアプリを起動したユーザー、またアプリ内で課金に至ったユーザーのカスタムオーディエンスをそれぞれ作成します。
前者のオーディエンスから後者を除外することで、アプリを定期的に起動しているものの課金には至っていないユーザーに対して課金を促すような広告配信が可能です。
Facebook広告のカスタムオーディエンスのうち、とくにカスタマーリストに基づくカスタムオーディエンスを作成する場合は、識別情報が正しくマッピングされているかを確認しましょう。
Facebook広告にカスタマーリストを追加すると、次の2種類のうちいずれかの記号が表示されます。それぞれの記号が示す意味を表にまとめました。
記号の種類 | 記号の意味 |
緑色のチェックマーク | 識別情報が正しくマッピングされたことを示す。情報はハッシュ化され、マッチングプロセスで利用される。 |
黄色の感嘆符 | 特定の識別情報が除外された、もしくは一部の識別情報を手動でアップデートする必要があることを示す。ファイルをアップロードする前に修正を加えることで、オーディエンスの精度が高くなりやすくなる。 |
緑色のチェックマークが表示されれば問題ありませんが、黄色の感嘆符が表示された場合は修正が必要なので注意しましょう。
Facebook広告のカスタムオーディエンスにはさまざまなメリットがあります。ここではカスタムオーディエンス活用の主なメリットを3つ紹介します。
カスタムオーディエンスを設定すれば、設定なしの広告に比べて広告配信先のユーザーとのマッチレートが高まります。
すでに自社ビジネスと何らかの接点を持つユーザーをリスト化して集中的に広告を配信することで、クリック率やコンバージョン率の向上が期待できます。
すでにコンバージョンに到達した既存ユーザーにさらなるリピート利用を促すうえでも、カスタムオーディエンスは有効です。
既存ユーザーの定着率向上は、新規ユーザー獲得と同じくビジネスの成長に大きく貢献するため、カスタムオーディエンスを活用した既存ユーザーへのアプローチに力を入れましょう。
作成済みのカスタムオーディエンスに基づいて類似オーディエンスも作成すれば、既存ユーザーだけでなく新規ユーザーとの接触機会を増やせます。
類似オーディエンスはカスタムオーディエンスと属性が似ている新規ユーザーの集まりなので、自社ビジネスに興味を示してくれる可能性が高まります。
メリットの多いカスタムオーディエンスですが、デメリットも一部あります。ここではカスタムオーディエンスを運用するうえでのデメリットを2つ解説します。
カスタムオーディエンスに含まれるユーザーは、過去に自社と関わりを持った既存ユーザーです。
既存ユーザーの数には限度があるため、カスタムオーディエンスに対してFacebook広告を配信する場合はリーチ数やインプレッション数が少なくなることを理解しておきましょう。
類似オーディエンスを活用することである程度このデメリットをカバーすることが可能なので、ぜひ活用してください。
ただし、類似しないユーザーでもコンバージョンにつながるユーザーはいますので、その機会損失リスクも頭に留めておくべきです。
カスタムオーディエンスを作成するには、顧客情報リストを準備する必要があります。したがって、顧客情報をまとめる経験がない場合はカスタムオーディエンスを作成するのに想定外の時間と手間がかかるかもしれません。
また、そもそもターゲットのメールアドレスや住所などの顧客情報を収集しなければならない点や、情報管理、分類分けなどの手間は避けられません。
本記事ではFacebook広告のカスタムオーディエンスの基本知識を紹介したうえで、カスタムオーディエンスの仕組み、種類や設定方法、メリットとデメリットなどを詳しく紹介しました。
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